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素人のエロ投稿やエロ体験談が大好きです。ジャンルごとにまとめてみました。他ブログからのお引越しですが、手動のため、ある程度まとめての更新です。。。
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「すみません、ちょっといいですか?」
 声をかけられたが、私は振り返りさえしなかった。友人の美樹子は私の腕を、汗ばんだ手で強く掴んだ。
 初夏の海辺は、ナンパのメッカだ。今日は女ふたりきりでのんびり海水浴を楽しもうと思ってやってきたのだから、無視するに限る。それに美樹子は、ナンパとかそういうのに慣れていない。
「ケーブルテレビの取材なのですが」
 続けてそう言われ、え? と小さく声を出して、まず美樹子が振り返った。続いて私も振り返る。
 後ろには、下半身水着、上半身にはラフなシャツを着た、三人の男が立っていた。どの男も、二〇代後半から三〇代といったところだろうか。カメラを抱えている男以外はサングラスをかけていて、顔はよく分からない。私たちに声をかけてきた男は、小さなマイクを持っていた。
「お時間とらせてスミマセン。近くのケーブルテレビの製作スタッフなのですが、海水浴場の取材をしているんですよ。それで、良かったらインタビューお願いできませんか?」
 美樹子と私は顔を見合わせた。
「靖恵がいいなら、私はいいよ」
 美樹子は私に丸投げだ。美樹子はいつだってそう。人任せだ。
 大人しいタイプで、非社交的で地味な子だ。人によっては彼女を『暗い子』といって敬遠する。私は自分では明るく社交的な方でタイプは違うが、すごく気が合う。
 私は少し考えたが、美樹子が興味ありげだったので、インタビューを了承した。
「ありがとうございます。では」
 カメラマンがカメラを向ける。同時に、周囲の目が私たちに集まる。
「お二人はご友人同士ですか?」
「はい」
「こちらへはおふたりだけで?」
「そうです」
「どちらからいらっしゃいましたか? 車で? 電車で?」
「えーと……」
 美樹子が周囲を気にし始めた。砂浜の真ん中だ。大人達はちらちらと見るだけだが、好奇心丸出しの子どもは立ち止まってじっと見ている。
「ここだとちょっと……アレですね」 
 マイクを持った男の指示で、カメラがしまわれる。
「場所を変えましょうか」
 今更、断れない。私と美樹子は男たちについて人気のない岩場へと足を運んだ。
 ・・・・・・・・・・・・・・・・
「だって、君たち特に可愛かったし、ビキニのセンスもいいじゃない」
「そんなことないですよぉ」
「いやいや。なんだかんだいってもさ、テレビだとビジュアル優先になるんだよ。君たちだったら絶対だと思った」
 男達はなかなか口が上手い。カメラの男は無言だったが、マイクを持った男と、脇で……アシスタントなのだろうか、帽子を深めにかぶり、ノートを手にした男の二人がかりでおだてられ、私も美樹子もかなりテンションがあがっていた。
 特に、美樹子の浮かれぶりは異常なほどだった。5年ほど友人として美樹子と付き合っているが、彼女がこれほど頬を上気させ、楽しそうに異性と話しているのを私は見たことがなかった。
「で、君たちスリーサイズは?」
「えー、そんなことまでぇ」
「いいじゃない。えと、じゃあ美樹子ちゃんから教えてよ」
「いやだー、恥ずかしいし、最近計ってないから、だいたいでいいですかぁ?」
 美樹子はかなり上機嫌だ。身体をくねらせ、目を輝かせてカメラの前でポーズまでとっている。その様子を見ているうちに、私の方は少し熱がひいてきた。
「ちょっと、美樹子!」
 カメラは、美樹子や私の身体を、足下から舐めるように撮影していた。
 ケーブルカメラの取材といっていたけど――。煽てられて少々浮ついた気持ちになっていたが、よく考えると少しおかしい。
「美樹子ちゃんDカップか! いや、大きいなとは思ってたけど。じゃあ、彼氏は幸せだね!」
「彼氏なんていませんよー」
「うそー。今二十三歳だっけ? じゃあ経験人数は?」
「えー」
 カメラは美樹子の胸元を舐めている。これはちょっといくらなんでも――変だ。私はかなり冷静さを取り戻していた。
「ちょっと、ねえ、美樹子!」
「あ、ごめんね、靖恵ちゃんにも聞こうかな。靖恵ちゃんは、OLさんだったよね。彼氏いるの?」
「いえ、そうではなくて……」
 私は美樹子の腕をぐいと掴んだ。
「ケーブルテレビの取材というお話しでしたよね?」
「はい」
「スタッフ証かなにかお持ちでしたら、見せてください」
「いいですよ。おい」
 マイクを持った男に指示を受け、帽子を深めにかぶった男が私についてくるようにと言った。
 かなり高揚している美樹子をひとり残すのは少々不安だったが、彼女だって子どもではない。いくらなんでも、そうそうおかしなことにはならないだろうと、私は男についていった。
 岩場から五分ほど離れたところにとめてあったライトバンが、彼らの車のようだ。このあたりは人もおらず、駐車している車も他にはない。
 男達の車は見たところ、なんの変哲もない白のライトバンだ。テレビ局のマークもなにもない。男は後部座席を開けてなにかをとりだした。
「これ、撮ってるの」
 男がにやりと笑って差しだしてきたそれは……
「ちょっと、これ!」
 私は唖然としてそれを見つめた。素人娘なんたらかんたら――と題されたDVD……。モザイクのかかった顔で、丸出しにした乳房を鷲づかみにしているパッケージのそれはどう見ても、成人指定のエロDVDだ。
「ケーブルテレビって……」
「まあ、似たようなモンでしょ。エロい有料チャンネルの撮影」
「……美樹子!」
 走り出そうとした私の腕を、男が強く掴んだ。
「美樹子ちゃん、今頃喜んでエッチな格好してると思うよ? ちょっとオッパイみせてよ、イヤン恥ずかしいわ、友達は今いないからさ、早く! えー、じゃあちょっとだけぇ、なーんてね」
「なにを……」
「俺たち、ずっとこの業界にいるんだぜ? ああいう、結構カワイ目だけど引っ込み思案ぽくておとなしめタイプの女の子の方が、いざ持ち上げられまくると有頂天になって大胆になっちゃうんだって、経験で分かってるのよ」
 頬を紅潮させて、エッチな質問にはしゃいでいた美樹子の姿が脳裏に浮かんだ。
 男は口元をだらしなくにやけさせたまま続ける。
「そして、君みたいなタイプはさ」
「私が、何よ」
「はしゃいで満足してる友人を、とめることができない。それどころか、変な競争心を燃やしちゃうんだよね。君、心の底では地味な友人のことバカにしてるでしょ? 自分の方が女として上だって、いっつも思ってるでしょ」
 男はけらけら笑って、私の腕を掴んでいた手を、そっとゆるめた。
 私は男を睨みつけ、急いで美樹子の元へ向かった。
 ・・・・・・・・・・・・・・・・
「えー、いやだ、恥ずかしい」
「ちょっとだけだからさ! ほら、顔にはモザイク入れるから。テレビ観てる人に、サービスサービス。ね、手をどけてDカップのオッパイ見せてよ?」
「じゃあ……ちょっとだけ」
「視聴率アップ間違いナシだよ! 乳首ピンク色ですごい綺麗ね。ちょっとだけつついてみてもいい?」
「えー、それはちょっと……」
「つついちゃえ!」
「あ、ああん!」
「おお、その声めちゃくちゃ可愛い!」
 息を切らせて走ってきた私の目の前に、信じられない光景が――いや、予想通りといった方がいいのだろうか。
 岩場に腰を下ろした美樹子のビキニははずされ、乳房が剥き出しになっていた。 男はマイクをほっぽり出して乳房を揉みしだき、美樹子は笑顔であえいでいる。
「感じやすいんだねー。もっとモミモミしてみようかな?」
「あ、あんん!」
「乳首ピンピンだぁ。舌でちょっとつついちゃお!」
「ああん! イヤン、ねえ、こんなの放送するんですかぁ?」
「美樹子ちゃん可愛すぎだからさー。深夜に良く、エッチな番組やってるでしょ? あっちに廻すよ~」
「えー」
「こんな可愛いオッパイ、見せないのもったいないよ、いいでしょ?」
「うーん……ちょっとだけですよ?」
「やった! じゃあさ、下もチョットだけ……お尻だけ見せてよ?」
 私はその光景を、岩の影から唖然として眺めていた。
 美樹子は男に煽られるままにビキニの下を脱ぎ捨て、手をどかす。男は流れるような口調で美樹子の脚を広げさせ、そこに手を添える。
 カメラが美樹子の身体を隅々まで追う。
「友達帰って来ちゃうから……」
「大丈夫! お友達の方は、あっちで普通の取材してるよ。可愛い美樹子ちゃんはこっちで深夜番組の取材!」
 美樹子が勝ち誇ったような笑顔を見せたのが見えた。
 友達より君の方が可愛いから――そうおだてられ、美樹子は開いた脚の間に男の舌をいれられ、わざとらしく思えるほどに声をあげている。
 私は震えていた。脚が凍ったように動かない。騙されている美樹子が気持ちよさそうにアクンアクン喘いでいるその場に、足を踏み入れることができなかった。
 今私が出ていって、すべて嘘だ、男達は美樹子を騙しているのよ、なんて、とても言えない。
「お、やってるね」
 肩に手を乗せられ、はっとして振り返った。帽子をかぶった男だ。
「今回、ペース早いな。君のお友達、もう脚開いちゃってるんだ。淫乱系?」
「そんなこと……っっ!」
 肩におかれた男の手が、私の胸元に伸びる。
「はっきり言うけど、君の方が上玉だよ。綺麗だし、スタイルいいし、冷静だし頭もいい。馬鹿な女だと、ここで大騒ぎして女友達のプライドをズタズタにしちゃうんだよね」
 男が耳朶に囁く声の向こうから、アンアンという美樹子の甘いよがり声が、聞こえた。美樹子はカメラの前で男のペニスを受け入れ、無我夢中でよがりくるっている。
「俺らも楽しんじゃおうぜ? カメラなしでさ」
 男の手は、私のビキニのブラの中に滑り込んでいた。いやだ私ったら、いつの間に乳首がこんなに勃っていたんだろう? 男の手がじっとりとしていて、熱い。
「君みたいなまともな子は、あんな風にカメラの前できゃあきゃあ言いながらはしたない声をあげることないんだよ」
 男の唇が、首筋をなぞる。
「あ……」
 私どうしてこんなに、火照っているんだろう。美樹子のいやらしい姿を見て興奮した? まさか!
 下半身が湿っている。汗なのかしら、それとも――。

「ん、んん」
「すごい、すごい締まって気持ちいいよ。もう少し長く楽しみたいね……」
 私はビキニの下を脱ぎ、岩に手を付いて立ったまま、男のペニスを受け入れていた。岩の影から、マイクをあそこに突っ込まれ、男の肉棒をほおばり、だらしない声をあげている美樹子が見えた。
 私は違う、あんなバカじゃない。
「ああう……」
 私の尻を掴み、ピストンを繰り返している男は、なかなかのテクニシャンだ。私を焦らし、ここぞというタイミングでピストンを早める。そして私がイキそうになると、再び腰の動きをゆるめ、私を焦らす。
 たまらない。太陽の下でのこんなにも開放的なセックスは初めてだ。けれど、すぐそばでみだらな姿を晒している美樹子にバレるわけにはいかないから、必死で声を殺す。美樹子は私に一部始終を見られているなんて知らない。そして、そのぱっくりと脚を広げたまぬけな姿が編集され、エロDVDとして他の何人もの女達と共に不特定多数の目に触れることになるなんて気付いていないはずだ。
 美樹子は今、自分は特別だから、こうなっているのだと信じている。
 友人を裏切っている背徳感が、私を高揚させていた。
 普段のセックスよりずっと、強く、深く感じてたまらない。快感で血が沸騰し、高熱を出したときのようにぼんやりする。
「もう、もうだめぇ……」
 息が苦しい、喉が乾く。感じすぎて、辛いほどだ。
「俺も……イク……」
 男のピストンがグンと早く強くなる。やがて私がクライマックスを迎えると同時に、胎内に生温かいものを感じた。
「ああ……」
 ペニスが抜かれた瞬間、脚の間から精液がだらりとこぼれた。
「なにか拭くもの、ないの?」
 男の短い叫びが聞こえるより、私の手が脇に置かれた男の鞄に触れる方が先だった。
 鞄の中には隠しカメラが――。
「お隣の柏田さん、おめでた?」
 ある日、共同ごみ収集所でちょうど会った下の奥さんに、私はそう聞かれた。
「え? 柏田さん?」
「そう302号室の柏田さん。うちの娘がね、産婦人科に入っていく柏田さんを見たって言ってたのよ」
 なんだか、胸がドキドキした。これ以上、この話を続けたくない。
「さあ? 私はなにも……」
 会釈をして、その場を去ろうとした。けれども、その奥さんは私を離してくれない。
「ねえ、佐々木さんから柏田さんに聞いてみてよ。あのね、うち、子どもが小さかった時の肌着とかおもちゃとか……おむつカバーとかね、捨てらんなくて、取っておいてるのよー。もし柏田さんが出産なら、まとめてあげようと思って」
 あげる? 押しつける、の間違いじゃないの? 私は心の中で毒づき、舌打ちをした。胸の鼓動はどんどん早くなる。なんだかお腹が痛い。早く帰りたい。
「だからね、聞いてみてよ」
「ご自分でお確かめになったら如何です? ついでに、子どものものがあるんだけどってお話しできるじゃないですか」
「もし違ったら恥ずかしいじゃない!」
 私ならよいというのだろうか?
「ほら、佐々木さんところまだ赤ちゃんいないでしょ? だからこう……もしかしておめでた? 羨ましいわぁ、なんて感じで気軽に話が出来ると思うのよ」
 もう限界だ。吐き気もしてきた。
「あっと、私そろそろ部屋に戻らないと。お鍋に火をかけてきたんです!」
 私はそう言い捨てると、ちゃんと聞いておいてね、と叫ぶ奥さんを無視して、息を切らせて部屋に戻った。
 玄関にしゃがみ込む。心臓に手を当てる。まだ動機は収まらない。
 ふとカレンダーを見る。今日は、夫とセックスする日。排卵日だ。
 ****************
 夫と知り合い、結婚して、最初は順調だった。子どもが出来たら子ども部屋も必要だろうから、なんて言って、狭いところを引き払い、今のマンションに越してきた。近くに小学校も中学校もあり、小児科も多い。それに住んでる自治体は子育て支援も充実していると聞いていた。
 3年たっても子が出来ず、病院に行った。私の身体が少々妊娠困難だと、辛い宣告を受けた。
 不可能ではないのだから、まだ若いのだから、いつかできるよと、夫や実母には慰められた。
 マンションのローンがきつく、私は持病があってフルタイムで働くことが出来ないため、本格的な不妊治療は行えない。
 子どもが欲しい。欲しい!
 子どもがいないから、自分は不幸なのだと思う。基礎体温を計り、排卵日を求め、その日に子作りのためのセックス。それ以外の日にはやらない。
「子どもいないんだから、暇でしょ?」
 子どもがいないから、マンションの管理自治会の仕事も押しつけられる。
 事情を知らない、義母からの孫はまだか攻撃も未だ続いている。
 夜中に赤ん坊の泣く声が聞こえたり、母にしかられ泣いている子どもを見かけたりすると、たまらなく辛い。
 隣の部屋の柏田さんの奥さんは、私より三つ年下だ。
「私、子ども嫌いなんですよ。もちろん、作るつもりはないです。隣が、子どものいないお宅でよかったー」
 入居の挨拶時、無邪気にそう言い放ったっけ。私があの時笑顔の下で、どれくらい傷付いていたか。
 その柏田さんが妊娠ですって? 私は動揺が隠せなかった。
 ****************
「ああ。バスで旦那さんに会ったんだけど、そう言ってた。初めて聞いたのが二ヶ月くらい前だから……もう随分になるよ。おまえ知らなかったのか?」
 帰宅して、シャワーを浴びた夫に、下の奥さんにこんなことを言われて辛かったと訴えたら、あっさりそう言われた。
「どうして話してくれなかったの!」
「だっておまえ……」
 誰々が妊娠したって話聞くと、落ち込むだろう――夫はかろうじてこの言葉を飲み込んだらしい。
「ねえ、あなた、お夕食は召し上がってきたのでしょ?」
「ああ、食べてきた」
 夫はいつだってそうだ。会社の同僚やら取引先の人なんかと食事は済ませて帰宅する。私の顔を見ながら、食事はしたくないと非難されているように感じる。
「じゃあ、そろそろ……」
「あ? ああ」
 夫の顔が曇る。わざとらしくカレンダーに目を向ける。
「分かったよ、やるよ」
 わざとらしいため息。すたすたと寝室に行き、ズボンをおろす。
「ほら、来いよ。疲れてるんだ。さっさとやっちゃおう」
 ムードもへったくれもない。もう数年、こんな感じだ。
 慣れたとはいえ、やはり傷つく。だが、きっと夫の方も同じなのだろう。いつだったか、酔った勢いで
「俺はおまえにとって子作りの道具」
 なんて言っていた。
 寝室に行き、私はネグリジェをまくり上げる。夫は面倒くさそうに私を抱えてベッドに横たえ、下着を脱がす。そして傍らのゼリーを陰部に刷り込み、ぐいと腰を張らせる。
「あ……ううっ!」
 潤いもしていない乾いた膣壁が、夫のものをねじ込まれ、悲鳴をあげる。
 夫の顔は正常位に向き合った私に向けられているものの、目は、全然違うものを見ているように思えた。
 せめて、キスでもしてくれたらと思い、そっと首に手を回した。
 だが夫は全く意に介さず、やがて目を閉じてピストンを繰り返しはじめる。 
「ああ、あああっ!」
 物理的には、感じる。やがて膣も潤いはじめ、身体が火照りはじめる。
「ううう……っ」
 けれども、私が高みに達する前に、夫は放出を終え、これで仕事は終わったろう? とでも言わんばかりの態度で背を向けた。
「ねえあなた、自分でなんてしていないでしょうね? なんだか、量が少なかったような気が……」
「してないよ!」
 私は夫を愛していた。愛していたからこそ、ふたりの子どもが欲しかったはずだった。けれども夫との関係は悪くなる一方だ。子どもさえ出来れば、また仲良くなれるのだろうか? 
 ****************
 お隣の柏田さんはいよいよ臨月に入り、里帰りをすることになった。
「お産は実家でするって決めていたんですー。赤ちゃんすごい楽しみ! 佐々木さんはどっちだと思いますか? 男か、女か」
「さあ?」
 大きな荷物とお腹を抱えた柏田さんと話をするのはきつすぎた。けれど、きっと赤ん坊を連れて帰ってきたら、私はもっと耐えなければならなくなるのだろう。
「帰ってきたら、赤ちゃん見せにきますね! あのね、母親学級で言われたんですけど、育児ノイローゼって言うのがあるんですって。それを防ぐためには、赤ちゃんを近所の人に預けて、たまにママひとりで外出したりするといいんですって!」
 この妊婦は何を言っているのだろう? まさか私に赤ん坊を預かれと、まだ産みもしていないうちから言っているのだろうか。
「ほら、そろそろ行くぞ」
 柏田さんのご主人が、困ったような表情を私に向け、深々とお辞儀をする。奥さんが無神経な分、どうやらご主人は思慮深い人のようだ。
 難産になればいいんだ。苦しんで苦しんで産めばいい! そんなことを思ってしまう自分の狭了さに、私は愕然とするばかりだった。
 ****************
「いいんですか、本当に?」
「どうぞどうぞ」
 ある日のことだった。会社帰りの柏田さんがうちにゴーヤを持ってきた。会社の人に頂いたのだが食べ方が分からないのでもらって欲しいと訪ねてきたのだ。だったら一緒に食べましょうと、私は半ば無理矢理に柏田さんを家に誘った。
 柏田さんはなかなか出来た人だ。奥さんとは大違い。
「すごい、上手いな。ゴーヤってこんなにおいしかったんだ!」
 私の作ったゴーヤチャンプルを夢中でかき込む柏田さんをぼんやり見ながら、ああ、こんな人が夫だったらいいのにと、そんなことを考えていた。夫は家で食事をしない。最近では、殆ど話しもしてくれない。帰宅は私が寝たあとだ。
「そう言えば、ご主人はまだご帰宅なさらないんですか?」
「ああ、出張中なのよ」
 ホントに出張中だかあやしいものだ。最近、香水の香りを付けて帰宅したことがあった。
「あ……。そうなんですか。おっと、ちょっと失礼します」
 柏田さんの携帯が鳴った。
「もしもし、ああ。順調か? そうか、よかった!うんうん。そうだな、今度の休みにはそっち行くよ……」
 奥さんからの電話か――。
 私はなんだか、無性に腹が立ってきた。私はこんなに不幸なのに、どうしてあの、子どもは嫌いだと言い放った奥さんだけが、幸せなの? 
 ぶちこわしてやりたい。
 理性で押さえることが出来ないほどの、激しい衝動だった。
「うん、じゃあな、先生の言うこと聞いて身体大事にしろよ」
 電話を切って、こちらに顔を向けた柏田さんが、ぎょっとしたような表情を見せた。
 それはそうだろう。隣の奥さんが、下着姿でそこに立っていたのだから。
「お、奥さん?」
 柏田さんは、殆ど椅子からずり落ちそうになっている。 
「私、ずっと柏田さんのこと好きだったんです……」
 私はずりずりと距離を詰めていった。
「柏田さん……」
 柏田さんは、完全に固まっていた、私はどんどんと近づく。ダイニングの椅子に腰掛けている柏田さんの膝に尻を乗せ、両手を真っ青になっている首の後ろに廻す。顔をゆっくりと近づける。
 ごくんと、唾を飲み込む音。波打つ喉。
「あんっ!」
 尻たぶに、固いものを感じて、私はワザと甘えた声をあげて見せた。柏田さんの勃起だ。柏田さんの頬がさぁと赤らんでいく。
「うれしいわ……」
「うう……」
 唇を寄せ、身体をべったりとすり寄せた。柏田さんの手が、おずおずと私の乳房に伸びる。
「んんん……っ!」
 最初は遠慮がちに、やがて大胆に。ブラジャーの中に手を入れ、乳房を揉みしだいてゆく。柏田さんの唇が私の首筋を伝い、肩を優しく噛む。
「ああ、あ。あ……っっ!」
 こんな風に愛撫されるのは、久しぶりだ。嫉妬から誘ったのだったが、私は本気で燃えはじめていた。スイッチが入ったかのように、下半身が緩み、いやらしい液が淫肉を湿らせ、溢れる。
「あ、あ……」
 大胆にまたがった私の肌を、柏田さんは座位のままで舐る。ブラジャーははずしてしまった。柏田さんは私の乳房を、赤ん坊のようにしゃぶり、弄り廻す。
「ア、あン、クぅぅぅ……」
 子作りばかりに気を取られ、忘れていた快楽のためのセックスの記憶が、急速に私の中に蘇る。身体に触れられるのが、こんなにも気持ち良かったなんて!
「立って……」
 柏田さんに促され、私はよろよろと立ち上がる。いけない……快感で脚が痺れて上手く立てない。
「あ……っ」
 座ったままの柏田さんの手が、私の下着の中に入る。指が、粘膜の中へ沈んでゆく。
「ああ、ああああ……」
 私は手を後ろに回し、テーブルで身体を支える。指は器用に、そしてリズミカルに蠢き、私を堕としてゆく。 
「私、もう、もうダメェ……」
 息絶え絶えに、私は腰を折って柏田さんの肩に頭をもたれ、ねだった。
「ねえ、入れて。ガマンできない」
「自分もですよ」
 柏田さんはそう言うと立ち上がり、服を脱いだ。ああ、なんて立派なペニス。ペニスなんて私の子宮に精子を運ぶためだけのものだと思っていたけど、そうじゃないのよね――。
 私は柏田さんの手を引き、リビングのソファへ案内した。柏田さんは私をソファに押し倒し、内腿をさする。私のあそこは準備万端だ。
「きて……」
 固く熱い塊が、ぐいぐいと私の淫肉を広げ、沈み込んでゆく。
「ああ、ああああ……っ!」
 ものすごい、快感。柏田さんも、奥さんが妊娠、里帰りでずっとしていなかったのだろう。初めからハイペースな激しい腰使いで、私を狂わせる。
「あん、アアンンン!」
 気持ちいい。たまらない。身体が痺れる。全身が火照り、頭がくらくらする。
「うう……」
 やがて柏田さんが、短いうなり声を上げ、腰を引こうとした。
「いや、一緒に!」
 私はぐいと柏田さんの腰を抱きしめた。膣壁を刺激する降り注ぐほとばしりの中で、果てていった。 
 瞬間、息を呑んだ。
 それは、彼の方も同じだったらしい。元から大きな瞳が、私を認めたとたん、一回りくらい、大きくなっていた。
 けれども私たちはお互い、声を掛け合うことはしなかった。……いいえ。しなかったのではない。出来なかったのだ。
 私も彼も、もう大人だ。高校の時の同級生を目の前で見つけたからといって、きゃあきゃあ騒ぐような子供ではない。それに、状況もそれを許さなかった。
 私と彼が、お互いを旧知の人間だと認め合ったそこは、小学校の教室だった。
 私は、新一年生の息子を持つ母。そして彼は……息子の担任として、その場に現れたのだから。
 ****************
 私はいわゆる「ヤンママ」だ。十代で出産し、高校卒業を待ってそのまま結婚した。子供はひとり。今年新一年生になる息子だけだ。
 大学生だった夫は、結婚を機に大学を中退し、知り合いの会社で勤めをはじめた。両親の反対を押し切っての結婚だったから、金銭的に辛くても、実家を頼ることが出来ず、私と夫は二人三脚で頑張ってきた。
 幸い息子は健康で、健やかに育ってくれた。大人しく、手のかからないいい子で、私はそれが自慢だった。
 だけど、私はいつも孤独だった。
 子供を連れて出るいつもの公園でも、幼稚園でも、私は最年少の「ママ」だ。高齢出産が増えているからだろうか。まわりのママさんは私より一回り以上年上も少なくない。そんなママさんは経済的にも豊かだから、やれスイミングだ、やれピアノだと、うちの経済力ではとても通わせられないスクールの話に夢中だったり、私がぼんやりとしか分からない古いテレビ番組の思い出話をしたり。
 あからさまに私を拒絶したりすることは一切なく、みんなとても親切でいい人だったけど、私はいつも疎外感を感じていた。
 ふと見ると、私と同じ歳の女性が、今が花の時期よとばかりに綺麗に着飾り、積極的に遊んだり、バリバリ仕事をしたりしている。高校時代の友人とも、すっかり疎遠になってしまった。早々に主婦になった私と、彼女たちとでは遊べる時間帯も、話題も合わない。
 十代で妊娠したことを後悔し、思わず涙をこぼしたこともある。そんな私を息子がじっと私を見ていた。やりきれない想いが重なるばかりだった。
 息子が小学生になったから、働きにでも出ようかと、私は就職活動をはじめた。
 正社員として働くのはとても難しかったから、パートを捜していた。
 4月の終わり。とても暖かな日のことだった。
「あ……」
「あら」
 子供を夫に預け、パートの面接に出た帰り。
 面接官の感触が悪く、またダメだったかなとため息をついていた時に、見知った顔を見つけたのだ。
 息子の担任教師――私の高校生時代の同級生、松前君だった。
「どうも……えーと」
「息子がいつもお世話になっています」 私が深々と頭を下げると、
「いえいえ。こちらこそ」
 と、彼は少し笑った。
 お互い、しばらく顔を見つめ合い、気持ち悪いくらいに笑っていた。個人的に話をしたのは、初めてだ。来月の個人面談ではイヤでも顔を合わせるだろうとは思っていたが、まさか道でばったり会うなんて。
「今更確認するのもなんなんだけど、君、旧姓山本さんだよね? えーと、2組だった山本志織?」
 確認もなにも、彼は確信していたのだろう。何たって、すっかりタメ口だ。
「そうよ、松前くん。ビックリしたわよ。まさか息子の担任が松前くんだなんて」
「ばか! 俺の方が驚きだよ。そりゃあさ、教師やってりゃあいつかは知った奴の子供を受け持つかもしれないとは思っていたけどさ、まさかこんなに早くこんな状況になるなんてさ。山本が妊娠したとき、クラス中大騒ぎだったもんなー。あの時の子が和樹君?」
「そうよ。大きくなったでしょう。あの子が2組を大混乱に陥れた張本人よ」
 入学式の時にははじめてクラスを受け持ちますと、ガチンガチンに緊張し、時折おかしな敬語を使って父母たちの失笑を買っていた松前君だったが、今はリラックスして話していた。私はこんな風に友達同士の会話をするのは久しぶりだったから、なんだか、ウキウキとしていた。
「あのさ、立ち話はちょっとまずいんだよね。一応、教師だからさ。学外で特定の生徒の保護者と親しくしてると、なんだかんだウルサイ連中もいるんだよ。俺のアパートさ、すぐ近くなんだ。ひとり暮らしで汚いけど、良かったら寄ってかない?」
「え?」
 ドキンとした。
 ひとり暮らしの男性の部屋に入るという状況が、とっさに理解できなかったのだ。けれど松前君はニコニコと屈託なく笑っている。
 ああそうか。私は子持ちの主婦だ――普通の若い女性というわけではない。しかも相手は、息子の担任教師だ。
「あ、ごめん。やっぱりやばいか。いや、懐かしくってさ。気づいたときから、気になってたんだよ、山本のこと。ああ、今は酒井さんか」
 私が躊躇していたのを見て、松前君は慌てたようにそう言った。
「ごめんごめん。やっぱりまずいよな」
「ううん。行きましょ。どこなの? それに、山本でいいわよ」
「いい? じゃあこっち。ついてきて」
 松前君は、私が子持ちの主婦ではなく、たとえばOLだったとしたら、こんなに気軽に部屋へ誘っただろうか――? ほんの少し寂しさを憶えた。
 ****************
「だいたいさぁ、こっちは一応プロなんだよ。それなのに父兄は、俺が自分より歳下で子供がいないってだけで、若い奴に子供のなにが分かるんだとか、ちゃんと教えているのかだとか、ああだこうだ口出してきてさぁ……」
 彼の部屋は案外と片づいていた。ひとり暮らしの男性の部屋なんて、付き合っていたころの夫の部屋しか知らないから分からないけど、こんなものだと思う。
 部屋は2つ。片方は寝室なのだろう。扉を閉めっぱなしにしているから、中は見えない。私は、居間に通された。すぐ脇にキッチンスペース。板張りの居間には、カーペットが敷いてあり、小さなガラスのテーブルと大きめのソファ、そしてテレビとデスクトップパソコンが置いてある。あとは本棚だ。
 本棚には、教育関係の本が並んでいる。何冊かは、背がすり切れていた。彼は、思っていたより、真面目な教育者なのかもしれない。 
「それに最近はあれだぜ? どっかのバカどもが子供相手に変な事件起こすからさ、若くて独身の男性教師だってだけで、神経質になる親なんかもいてさ」
「大変ねぇ」
 最初は、出されたインスタントコーヒーを前に、お互いの近況なんかを報告し合っていた。けれど途中から、松前君は愚痴をこぼしはじめていた。
 おそらく……溜まっていたのだろう。小学校には赴任したばかりで、愚痴をこぼせる同僚はまだいないようだった。周りは厳しい目を向ける父兄たちと、彼を品定めしている学校関係者ばかりで、息が詰まっていたのだろうと容易に想像できた。
「こっちは、最初から教師志望だったんだよ。それなのに、よそで就職できなかったから教師になったんだろうなんて勘ぐるやつまでいてさ」
「今の小学生のお母さんお父さんって、私たちより一回りは年上だったりするじゃない。情報もそれだけ蓄積してるからさ、その分疑心暗鬼になりやすいのよ。それに、私たちくらいの歳でバブルを体験した世代でしょ?」
「お、山本分かってるじゃん」
「だって、私も子供関係でおつきあいする人たち、みんな年上で……」
 彼のペースにすっかりはまってしまった私は、自分の溜まっていた愚痴も、ぽつぽつとこぼしはじめていた。
 私たちはお互い、立場も環境も違ったけど、孤独であることに間違いはないようだった。
「俺さ」
 唐突に、松前君がつぶやいた。
「山本が妊娠したって噂聞いたとき、すごいショックだったよ」
「みんなショック受けてたみたいね」
「違う、そんなんじゃないよ。俺、山本のこと、ちょっとイイなって思ってたんだ。だから……」
 私たちの間に、微妙な空気が流れた。どちらかが、あのころが懐かしいわね、なんて笑えば、また賑やかに会話を進められたかもしれない。
 けれど私も彼も、そうしなかった。
 私たちはお互い孤独で、そんな中、思春期の混乱を一緒に乗り越えた懐かしい顔を見つけ、寄り添い合いたかったのだろう。依存? そうかもしれない。
 私たちは、どちらともなく、唇を寄せ合っていた。
「ああ……」
 私は夫がはじめての人で……そして最後の人だと思っていた。私は他の男性を知らない。
「山本。舌、出して……」
 彼の唇は柔らかくて優しくて、夫とは全然違った。私がほんの少し伸ばした舌を彼は唇で優しく挟み、強く吸った。
「ん、んんんん……っ」
 こんなキスを、私は知らない。身体の力が抜ける。彼は私の側に寄り添い、舌を愛撫しながら、私の肩を支えてくれた。
 私はそのままソファに押し倒される。彼の唇は私の首筋へと移動し、私は甘いため息をこぼした。
 ああ。こんな風に優しくされるのは、何年ぶりだろう。夫も、始めは優しかった。けれども今は、こんなに優しく柔らかく私を抱くことなんてしない。
 私の服を脱がしながら、唇を首筋から胸元へ移動させる彼の頭を私は強く抱きしめた。
「あんっ」
 彼の熱い手が直に乳房を覆い、揉みしだく。唇が乳首を吸いあげる。
 甘い快楽が身体中を走り抜け、下半身がじんと緩んだ。足にあたる松前君の股間が、厚手のジーンズ越しでもはっきり分かるくらいに、固く膨張しているのを感じた。
 欲しい――。たまらなく、彼が欲しかった。私は思いがけないほどに乱れた気分で高ぶっていた。
「これ……」
 伸ばした手で、彼の股間に触れる。
「うう」
 私の乳房から口を離し、松前君は短く呻いた。
「欲しい」
「色っぽいこと言うなよ。たまんない」
 私は手で強く、彼のいきり勃った股間をジーンズ越しにさすりあげた。  
 ****************
 夫と子供以外の男性に裸で抱きしめられたのは、初めてだった。
 彼の身体は大きくて、温かかった。肌を寄せ合っていると、体温が直に伝わる。重ねた身体に、彼の心音が響く。抱き合っているだけでこんなにも心地よさにうっとりとするものだったろうか? こんなにも柔らかい気持ちになったのは、本当に久しぶりだ。
「ねえ、いいでしょ?」
「え?」
 私は彼をソファに寝かせて、彼の下半身に自分の身体をずらした。
「ちょっと、そんなコトしなくていいんだよ!」
「私がしたいのよ」
 私は、自分でも驚くくらい、大胆になっていた。快楽だけに身を任せて行動することがこんなにも楽しいなんて。
 私は彼の赤黒い勃起に手を添え、軽く握りしめた。手の中でそれはぴくんぴくんと脈打ち、手のひらをくすぐる。
 私はゆっくりと唇を開け、口内に肉棒を咥え込み、舌を絡めた。
「う、うう」
 彼のそれは熱くて、固くて。私の口唇内で何度も痙攣のように震えた。大きなそれは、とても口の中へ入りきらない。唇と膨張した肉との間から唾液がこぼれ、彼の茂みを濡らす。
 私の脚の間も、自覚できるくらいにびしょ濡れだ。恥ずかしいくらいに……まるで、何年も男に構って貰っていない女のように、私は飢えていた。
「あう、うう、うううう」
 私は、夢中で彼のペニスを咥え、しゃぶり続けていた。やがて彼が私の頭を抱き、もういいよと目で合図するまで。
「挿れるよ?」
 私を抱き、彼は優しくソファに横たえる。そして唾液まみれになった唇を吸いながら、正常位の格好で脚の間に腰を据えた。
「ああっ!」
 鋭い快感が、全身を貫く。彼も飢えていたのだろうか。まるでセックスを憶えたばかりの若者のように、激しく肉をぶつける。
 彼の……私を貫いているのが、息子の担任教師の肉棒だということにはたと気づき、四肢が思いがけないほどに熱く震えた。
「あ……、松前センセ……」
 私の口からこぼれたその言葉に、彼もまた反応する。私の膣内で肉棒がいっそう膨張し、肉壁を擦りあげる。
「ああ、あああ。先生、先生!」
「山本……うっ、ううう」
 イッたのは同時だった。いや、私の方が少し早かったかもしれない。抱き合った松前君の頭髪に一筋の白いものを私は見つけ、たまらなく愛おしかった。
      
「ひとりなの? ここら物騒だからさ、送ってあげるよ」
「タクシーで帰りますから」
「金使うことないじゃん。第一ここ、ほとんどタクシー来ないぜ。大丈夫だよ、きっちり送ってやるから。家どこ?」
 3人組のしつこい男達を無視し、私は再び道路に目をやった。
 時間は午前二時を廻っている。まさか、終電で寝過ごすなんて……。もう二五歳になるというのに、私ったらなに若い女の子のようなことやっているのだろう?
 目覚めて慌てて飛び降りたそこは、本来なら降りなければいけない駅から、かなり離れた田舎の、閑散とした駅だった。
 タクシー代は持っていないが、カードで支払えばいい。何より、タクシー以外にここから家まで帰る術はない。
 ところが、この駅のタクシー乗り場には、なかなかタクシーが来ない。慌てて降りた私がバカだった。落ち着いて、急行が停車するような駅で降りれば良かったのだ。
 誰もいないタクシー乗り場で困っている私に声をかけてきた若い男三人は、どうやら同じ電車に乗っていたようだった。
 三人とも十代後半から二十代前半といったところだろうか。ひとりは赤いキャップを被り、ひとりはやたら背が高く痩せている。そしてもうひとりは、少し強面だ。だらんとしたズボンのポケットに手を突っ込み、なにかをじゃらじゃらさせている。
 彼らは私が明らかに寝過ごし、慌てて電車を飛び降りたのを見ていたのだろう。そして、ついてきたのだ。気持ちが悪い。身の危険を感じた。
 駅の周りに人気はなく、道路の反対側にぽつんとコンビニの明かりが見えるくらいだ。
「なあ、送るって!」
 赤キャップの男が、私の腕を掴んだ。
「やめてください!」
 私は必死で振り払い、コンビニに向けて足を速めた。店内で一晩中過ごしてもいい。電話もあるだろう。そうしたらタクシーを呼べる。
「待てよ!」
 男の声を無視し、道路に飛び出す。左手にライトが見えた。タクシーだ!
「止まって!」
 私は道路の真ん中で手を挙げた。私の身体がヘッドライトで照らされる。驚いたような運転手と一瞬目があった。
 急ブレーキの音。
「お姉さん、危ないよ」
 気の弱そうな中年の運転手が、窓から顔を出す。ドアが開く。
「お願い、乗せて。急いで出して」
 閉めようとしたドアが、強い力で押さえられた。どんと背を押され、タクシーに押し込められる。
「ちょっと、君たち……」
 運転手の声。
「出せよ。俺たちの言うこと聞くんだ」
 無理矢理乗り込んだ男達が、運転手を脅していた。
「いやだ、出して! ……ひっ!」
 助手席に乗り込んだ強面男が、サバイバルナイフを取りだし、運転手に突きつけている。
「早く出せよ。この道まっすぐ行って……山道があるだろ、そこ走れ」
 運転手は無言で、車をスタートさせた。

「いやぁ、やめてください!」
「ほらほら、あんまり暴れると運転手さんの気が散って事故おこしちゃうぜ。みろよ、ガードレール超えると崖だぜ? 死になくないだろう?」
 右に背の高い男、左には赤キャップの男がいる。私は後部座席でふたりの男に挟まれていた。
 狭く、暗い山道にのったタクシーは、悪路でがたがたと揺れる。気の弱そうな運転手が、ぶつぶつと助手席の強面に何か言っていたが、そのたびに
「うるせえな、変なこと考えたらただじゃおかないぞ!」
 と、一喝されていた。
 私を両面から囲んだ男達は、私の身体をいいように弄っていた。ブラウスの前は開けられ、ブラジャーはずらされている。スカートはたくし上げられ、ストッキングはビリビリだ。
「オッパイ小さいな。上げ底ってやつか、これ」
「でも、固さは丁度よくね?」
 赤キャップが私を膝に乗せ、背後から乳房を痛いくらいに揉みしだく。時折乳首を指で潰し、引っ張りあげる。
「いやぁ、やめてぇっ! 痛い、いたいぃぃぃ!」
 背の高い男は私の太腿をさすりながら、下着を剥ぎ取ろうとする。
「いや、イヤアぁっ!」
 振りあげた脚が、背の高い男の顔面に当たる。
「こいつ、ふざけやがって!」
 平手が私の内腿を叩く。強い破裂音に、私の叫びが重なった。
 私の必死の抵抗は、男達の加虐の欲望に油を注いでいるだけだったらしい。赤キャップはますます強く私の乳房をこね回し、背の高い男は持っていたナイフで私の下着のわきを切り裂いた。
「ああ……」
 口中に、裂かれた私の下着が詰め込まれた。吐きそうだ。喉の奥が苦しくてむせかえる。
 尻のあたりに、ゴツゴツしたモノを感じた。赤キャップの勃起だと気付くまでに、少し時間がかかった。あまりにも固く、大きかったから……。
「いい加減観念しろよ」
 下着を切り裂いたナイフが、私の顔面に添えられた。
「おっと……」
 車体の揺れで、一瞬ナイフが頬をかすめる。恐怖で身体が固まる。
「あぶねえなぁ」
 バックミラー越しに、運転手と目が合った。
 服を剥かれ、惨めな格好で涙を流している自分を、運転手が哀れむような表情で見ていた。けれど私はその瞳の中に、好奇心の光が宿っているのも見逃さなかった。
 悔しくてたまらなかった。
「次、広い道に出るから。……そこをまっすぐ。次、橋……渡って。そこの赤信号は無視していい、止めるな。左の未舗装路に入れ。狭いから気をつけろよ。ハイライトにしていけ。そのまま山ン中へ入れ」
 助手席の強面は、淡々と運転手に指示を出していた。後部座席で行われていることなどにはまるで興味がないといった風だ。
 この男達、慣れてるんだ――。
「な、なんでも言うこと聞くから、お願い、殺さないで……」
 下着を吐き出し、私は震える声をあげた。背の高い男は一瞬きょとんとした顔をし、やがて声をあげて笑った。
「なんでも言うこと聞くから、だって? 逆らうことも出来ないのにか!」
「ああっっ!」
 男の平手が、私の頬を直撃した。頭の芯まで痺れる。
「許して……」
「写真、撮っておけよ」
 助手席の男に促され、背の高い男は私に携帯電話を向けた。
 赤キャップの男が背けた私の顔を正面に向けさせ、無理矢理に脚を開かせた。
「ハイ、チーズ」
 電子音と共にストロボがたかれ、あられもない私の姿がデータ化されていく。
「殺しはしないが、変なことをしようとしたら、ネットに写真ばらまくからな?ええと……」
「いや、やめて!」
 男の手が、私の鞄の中を漁る。
「免許書発見。木下……和美ちゃんね」
 住所も知られてしまった。もう、お終いだ。

 突き飛ばされるようにして、私は草むらに転げ落ちた。服ははだかれ、身体を覆っているのは、ビリビリに破れたまままとわりついているパンティーストッキングだけだった。
 タクシーは人気も明かりもない山の中で駐められ、運転手もおろされた。
 真っ暗な中、タクシーのヘッドライトだけがまっすぐに伸びている。
 無数の羽虫がライトの中に浮かぶ。
「さっさとやっちまおうぜ」
 車内ですでに股間を起立させていた赤キャップが、ズボンに手をかけイチモツを取り出す。
「その前に、こっち」
 冷静な強面がタクシー運転手の両手をバンダナのようなもので後ろ手に縛り上げ、車のわきに転がした。
「おまえ、観客がいないと、燃えないんだよな」
 背の高い男がげらげら笑う。運転手の怯えた表情が、ライトに照らされる。私と目が合うと、そっと視線をそらす。
「ほら、しゃぶれよ」
「んんん……」
 鞄を取られ、服も靴も取られ。こんな山の中からひとりで逃げ出すことなど出来ない。私は彼らのいいなりになるしかなかった。
 髪の毛を強く掴んで私は上半身をおこされた。地面にべったりと付いた尻がひんやりして気持ちが悪い。けれどそんなことに構っていられる状態ではなかった。
 口内にいきり勃った生臭い肉棒がねじ込まれた。こみあげる嘔吐を押さえきれない。ゲエゲエ言いながら、私は必死で口を動かした。
「ヘタクソだなぁ。それとも俺のがでかすぎるのかな?」  
 赤キャップの軽口に、背の高い男がげらげら笑う。
「俺からヤッちゃっていいんだろ?」
 赤キャップの言葉に、
「お前、さんざん楽しんでるじゃねえか、俺からだよ」
 と、背の高い男がズボンをおろし、赤キャップのペニスで口唇を犯されているままの私に近づくと、尻たぶを掴み、ぐいと持ち上げた。
「んぐううぅぅ」
 身体のバランスが崩れ、赤キャップの切っ先が喉の奥を強く突く。
「うううう……」
 堪えきれず、四つんばいの格好で、唾液と共に吐き出す。
「なんだよだらしない」
赤キャップが舌打ちしながら私の顎を強く掴み、再び勃起をねじ込んだ。
 それと同時に尻たぶが割られ、背後に立つ背の高い男の肉棒が、秘肉にずぶずぶと突き刺されていった。
「くううぅぅっ!」
 激しい絶望感と恐怖。腰から下が麻痺したような感覚で、まともに身体を支えているのが難しい。
 男達はそんなことお構いなしに、ガンガン私を責め立てる。下半身を激しく突き動かされるたびに、身体が左右に動き、喉の奥を男根が貫く。
 膝が地べたに擦れて痛い。砂利が絡んでいるようだ。
「ん、んんくぅぅ……」
 やがて、私の喉を犯していた男のペニスがどくどくと脈打ちながら生温かな白濁を吐き出し、ついで、背の高い男が私の中に欲望をぶちまけた。
「あううう……」
 口と下腹部からザーメンを垂れ流した私は、そのまま地面に突っ伏した。男達は何か言いながら笑いあっていた。うつろな目を運転手に向ける。運転手が目をそらす。
 こいつ、きっとずっとニヤニヤしながら見ていたのだろうかと思うと、吐き気がした。だってこいつは、逃げだそうと思えば、逃げ出せるのではないの? 必死で走って山を下りれば、電話くらいあるでしょう。
 私が惨めに陵辱され、ボロボロになっていくのを、怯えているフリして悦んで見ていたのかもしれない――そう思うと、無性に腹が立った。
「おい、俺が使うから。ちゃんと写真撮っておけ」
 今まで黙っていた強面が、つかつかと歩み寄り、地べたに転がっていた私の髪をぐいと掴んだ。
「ううう……」
 もう、痛いという叫びも出ない。
 強面は私の身体を、ボンネットに押しつける。押しつけられた乳房に、熱気が伝わる。身体に残る白濁の匂いが熱にあおられ、鼻をついた。
 ぐいと尻肉が割られた。太腿をザーメンが流れ出る。
 さんざん嬲られた秘肉がヒクヒクと小さな痙攣を繰り返す。
「ああぅ」
 強面の指が秘裂を探り、汗と愛液とザーメンの入り交じった粘着液を絡め取る。ざらつくものは、地べたの土か、細かい砂利かもしれない。
 男はそれを、私の……私のアナルに塗りつけた。
「ひぃっ!」
 脳内で破裂音が響いた気がした。男は私の腰を掴み、ボンネットに押さえつけたまま、張りきった肉棒の切っ先をアナルに添えた。そして一気に……
「アアアアッッ!」
 携帯でたかれるフラッシュの中、私の絶叫が闇を裂いた。
「あああ、アアアアッッ!」
 避けるような痛みが全身を貫く。肉棒は私の直腸を割り、奥へ奥へとねじ込まれていく。
「ああ……ああ……」
 気が遠くなりそうだ。誰か、誰か助けてよ……。
「また尻かよ。お前も好きだな」
「お前らがスペルマぶちまけたところなんて、汚くて挿入られねえよ」
「ウンコは平気なのかよ!」
 すぐ近くでされている会話だというのに、なぜか、遙か遠くに聞こえる。
 ふと、運転手に目を向けた。半開きの口から、熱い息がこぼれているようだ。
 運転手のズボンが、無様に盛りあがっていた。 
 
 中古住宅に引っ越してきて3ヶ月。昼間ずっと家にいる専業主婦の私は、時折感じる視線に、いつも悩まされていた。
 ハッキリとした確証があるわけではなかった。だけど、誰かに見られているという感覚がつきまとうのだ。
「中古なんでしょ? 前の住人はどうして引っ越したのよ?」
 学生時代からの友人に電話でそのことを話すと、そんな風に言われた。友人はどうやら、何か幽霊のようなものを考えているようだった。
「いやだヤメテよ、気持ち悪い」
「そこの販売価格、妥当だったぁ?」
「妙に安くなかったかって事? 普通よりは安かったけど、ここ古いから……」
「あはは。近所に変死者の噂は?」
「ないわよ!」
 友人に話していると、確証のない『見られている』という感覚がなんだか自分でもばかばかしくなって、落ち着く。
 私たち夫婦の引っ越してきた一角は古い住宅が密集しているところで、私たちのように若い夫婦というのは珍しい。
 いても、両親と同居で二世帯という感じで、若夫婦だけの世帯というのはない。
 この家の築年数は三五年以上。この家で子育てをし、子を嫁に出し、自分たちの定年を迎え、元々住んでいた故郷へ引っ越した住人が売りに出したのだ。
 本当は取り壊して更地にし、土地を売りに出したかったそうなのだが、二世帯住宅になっている隣家の子世帯の方に受験生がおり、家を壊したり立て直したりで騒音を出すことを、近所づきあいを何よりも大切にしていた前の住人は遠慮したのだと聞いていた。

「そう言えば俺も、たまに感じるぞ」
 恐る恐る、時折感じる視線について夫に話したところ、意外なことに夫も私の話に同意した。
「本当? どういうとき?」
「普通に出勤の時とか、帰宅時だけど」
「うそー。やだわ、こわい」
「別に、霊とかじゃないと思うぞ。隣だよ。隣の二階部屋」
「え?」
「だから、隣の浪人生だよ」
「ああ、和夫くんだっけ?」
 和夫というのは、二世帯住宅になっている隣家の息子夫婦の子どもで、大学受験生だ。前の住人が遠慮して家の取り壊し工事を諦めたという原因であり、当時も受験生で今も受験生。つまり浪人中だ。
「和夫くんの部屋、うちの方に向いている窓に面して机があるのがこっちからも分かるだろ? こっちからそれが見えるって事は、向こうからもこっちが見えるんだよ。別に意識しなくても、机に向かえばこっちに目が向くって事。それが、なんとなく見られている感じに思えるだけだよ」
 そう言われてみれば、視線を感じるのは、私が特定の場所にいるときだけだ。庭いじりをしているときや、隣家に対峙している部屋にいるときぐらい……。
「町内会の集会で近所の人に聞いたんだけど、和夫くん、気の毒だってさ。お隣、奥さんがやたら厳しくてスパルタで、さらに見栄っ張りでさ、和夫くんが福祉の専門学校に行きたがっていたのに、そんなの許しませンって、無理矢理大学を受験させているそうだよ。和夫くんは母親に頭が上がらないんだって。基本的に大学進学する気はないのに、机に向かわされてるんだよ。たまに目がこっち向くぐらい許してやれよ」
「でも……」
「ま、別に実害はないんだし、いいじゃないか。向こうもワザとのぞいているんじゃないんだし、気にするなよ」
 気にするなと言われても、出社時、帰宅時に視線を感じるだけの夫と、四六時中家にいる私ではわけが違うではないか。
 翌日、私は目隠し目的の模様入りガラスシートを購入し、隣家に対峙している全部の部屋の窓に貼り付けた。
 張りながら思う。たしかに、隣家の二階……和夫くんの部屋があると思われる場所からは、カーテンを開けていればこの家の中は丸見えになってしまう。
 一階のその部屋はリビングになっていて、趣味のガーデニングでキレイに整えた庭へ出られる大きな窓が気に入っていたが、視線を感じるよりマシだ。正直、庭に出ることも、なんだか怖くなっていたくらいだったし。
 あまり深く考えていなかったが、こういう事もあるんだなぁと思いながら、私は黙々と作業を続けた。 

「わはは。万年浪人のストレス解消に覗かれていたわけなのね」 
 視線の主を霊だと決めつけていた友人は、電話口で私の話に豪快な笑い声を立てた。
「だからぁ、ワザと覗いていたわけじゃなくて、机に向かうとこっちが見えているだけみたいで」
「えー、そんなのどうして分かるの? こっちからも、向こうが見えるの」
「それは……」
 正直に言うと、ほとんど見えない。隣家の方が高い位置にあり、角度の関係だろう。こちらからは見上げる形になり、向こうは見下げる形になる。机があり、机の上にパソコンのモニターがあるのはかろうじて見えるが、その部屋の主を確認することは出来ないのだ。
「望遠鏡とかで、覗いちゃってるかもよ。私があなただったら、わざと見せつけるようにエッチな下着姿で歩き回ったりしちゃうけどなー」
「やだわ、誘惑しろって?」
「そうそう。オナニーしちゃったり」
「アダルトビデオじゃないんだから!」
 友人の妄想には付き合いきれない。早々に電話を切り、シートを貼った窓を見る。光は入るが、外はほとんど見えない。向こうからも見えないのだ。
 夫には、全面シートでわざわざ自慢の庭を見えなくしてどうするんだとぶつぶつ言われたけど、精神衛生上、こっちの方がずっとマシだ。
「あら?」
 ばしゃ、ばしゃと、水滴がガラスを打っていた。
 いけない、雨だ。
 今日は久しぶりに天気がよいからと、私は庭に傘を干していたのだ。
 私はがらっと窓を開けた。
「きゃぁっ!」
 目の前に、私の干した傘を畳んで手にした、若い男が――隣家の浪人生、和夫が立っていた。

「なにするんです」
「わざとらしいんだよ、こんなシート貼って! まるで、僕があなたの家を覗いてるって、近所にアピールしてるみたいじゃないか」
 和夫はそう言いながら真っ赤な目で、ずかずかと私の家に入り込み、後ろ手で窓を閉めた。外からは、この部屋の状態はもう見えない。
「ちょっと、出ていって下さい!」
「かあさんにも言われたんだ。隣がうちに向いてる窓全部にシート貼ったけど、まさかお前覗いていたのかとかなんとかさ。怒られたんだぞ? お前のせいだ」
 ひどい言いがかりだ。
 だが、自分の家に勝手に上がりこまれたことが恐ろしくて、私は反論することも出来なかった。私は後ずさり、和夫はドンドン近づく。距離をつめてくる。
 どんと、背が壁にぶつかった。助けを呼ばなければ。携帯電話はどこ? やだ、あんな遠く!
「助けを呼ぼうったって、そうはいかないんだからな」
「ひぃっ!」
 和夫の両手が、私の肩を掴んだ。私はショックで腰を抜かしたようになり、押さえつけられるようにその場にしゃがみ込んだ。
 ふと気付いた。肩に置かれた和夫の手は、小刻みに震えている。
 良く聞けば声も、かなりうわずっていた。和夫にしてみれば、どうやら勇気を振り絞った行動のようだ。
 夫の言っていた言葉が脳裏に蘇る。
 もしかしてこの和夫というのは、確かに気の毒な青年なのかもしれない。ストレスが貯まりきっていたのだろう。そしておそらく実際に、家を……私を覗いていたんだろうと思われた。和夫は、私がそのことに気付いていたとは、露も思っていなかったのだろう。
 けれど、図星を突かれるような行動を私がしたこと、両親に問いただされたことでショックを受けてこんな行動に出たのかもしれない。
 気の毒だとは思う。だが、不法侵入だ。
「け、警察に連絡しますよ!」
「隣の家の人間を通報するのか? そ、そんなことしたら、近所で恥をかくのは奥さんの方ですよ」
「知らないわ。いざとなったら引っ越すもの。それよりあなたの方が大変なんじゃない? あなたのお母様はお厳しいんでしょう? 息子が犯罪なんて……」
 肩を掴む手の震えが、ぴたっと収まった。顔を見る。和夫の顔色が真っ青になっている。人間て本当に顔が真っ青になることがあるんだと、こんな状況だというのに、私は妙に感心してしまった。青い顔に、目だけが真っ赤に燃えあがる。怒りの色だ。
 しまった。和夫に母親の話は、厳禁だったか! 後悔したが、時既に遅し。
「きゃぁぁぁっ!」
 和夫は私を押し倒し、覆い被さった。そしてシャツを捲りあげ、ブラジャーをたくし上げると、私の乳房を露出させた。
「かあさんは関係ないだろ! 困るのは本当にあんたのほうなんだからな!」
 スカートを捲りあげ、私の下着に手をかけた。
「やめて、やめなさいよ! お母さんに言いつけるわよ! いいの? お母さんに言いつけても? 怒られるわよ、家を追い出されちゃうかもしれないわよ?」
 逆に禁句を言い続けて意気消沈させようとしたのだが、作戦失敗。というかかなりの逆効果だったようだ。
 和夫はますます逆上し、私の下着を乱暴に取り上げた。その弾みで私は壁に頭を打ち、和夫は自分の行動に興奮したのか、目を血走らせて、私に襲いかかった。

「くっ! んんんんん……」
 私は口内にタオルを詰められ、ガムテープで口を塞がれた。居間のどこにガムテープがあるかを和夫が把握していたことが恐ろしい。乱れた恰好のまま私はソファに転がされ、両手も後ろでガムテープを巻かれた。
 和夫はハアハアと息を荒げ、しばらく私の乳房ばかりを弄っていた。それにも飽きたのか、あとは肩を上下させ、私をただ見ていた。最初は、してやったぜ、という満足げな表情だったが、なんだか見ていたら、だんだん困ったような表情を見せ始めた。
 怒りにまかせて勢いでここまでやっちゃったけど、さあこのあとどうしよう?
 どうも、そんなところなんじゃないかと思えた。
 要するにこの和夫は、マザコンでしかも幼稚なんだろう。ひょっとすると、童貞なのかもしれない。
「ん、んんんっ!」
 ワザと下着姿で歩き回り、オナニーを見せつけてやる、といった友人の言葉が頭をよぎった。なんだか今は、その友人の気持ちが分かったような気がした。
 私は苦しそうに身悶える振りをしながら、いやらしく脚を拡げ、誘うように腰を突き出して見せた。
 案の定、和夫は目を丸くして私に注目した。息が更に荒くなっているのが分かった。ジーンズの上からハッキリと分かるくらい、股間も膨張している。私の淫らな姿に興奮している和夫を見て、私も背徳感を伴う高揚を覚えた。私は誘うように腰をくねらせ続けた。正直、レイプするつもりだったらさっさとして欲しい。こんな屈辱的な恰好のままでボーっとされるのは辛い。
「畜生」
 ようやく、和夫が動いた。
 わざとらしいくらい大げさに服を脱ぎ、ズボンと下着を取った。意外なほど巨大な勃起が顔を出す。
「犯してやるからな!」
 私の腿に手をかけ、左右に開いた。
「んんんーっ」
 和夫は、私の秘所を凝視していた。まるで、初めて見るかのようにまじまじと。もしかして和夫は本当に童貞なのかもしれない。童貞ではないとしても、それほど経験がないか……。
 私が腰を浮かすと、はっとしたように和夫は自分のペニスを握り、私の脚の間に添えた。
「うわ、本当に濡れるんだ」
 そんなことを言う。私は少し恥ずかしくなり顔を赤らめたが、和夫は私の顔なんて見てはいなかった。
 亀頭で濡れた割れ目を探り、穴を捜しているようだった。ようやく、スルッといくところがあったのだろう。肉棒が一気にねじ込まれた。
「くう……ん、んんんんっ!」
 口を塞がれているのがじれったかった。
 和夫は息を弾ませながら、ひたすらに、無理矢理に、激しく、乱暴に、私の肉を突きまくった。
「すごい、すごい気持ちいい……自分でやるのとは大違いだ……」
 顔をゆがませ、ただただ、突いた。そんなセックスが新鮮で、何とも言えない快感が私を上気させ、高ぶらせた。不本意ながらも私は深く感じ入り、あっという間に和夫が私の中に精をこぼしたときは、これで終わりかと少しガッカリしたのだった。
「はぁはぁ……」
 けれど若い和夫の回復力はすごかった。「んんっっっ!」
 和夫は何度も何度も……しかも、勘がいいのだろうか、一回ごとになんだかテクニシャンになっているように思えた。
 私はひたすらストレス解消の捌け口として、和夫に犯されながら、気を失うまでイキ続けていた。 
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