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素人のエロ投稿やエロ体験談が大好きです。ジャンルごとにまとめてみました。他ブログからのお引越しですが、手動のため、ある程度まとめての更新です。。。
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「お隣の柏田さん、おめでた?」
 ある日、共同ごみ収集所でちょうど会った下の奥さんに、私はそう聞かれた。
「え? 柏田さん?」
「そう302号室の柏田さん。うちの娘がね、産婦人科に入っていく柏田さんを見たって言ってたのよ」
 なんだか、胸がドキドキした。これ以上、この話を続けたくない。
「さあ? 私はなにも……」
 会釈をして、その場を去ろうとした。けれども、その奥さんは私を離してくれない。
「ねえ、佐々木さんから柏田さんに聞いてみてよ。あのね、うち、子どもが小さかった時の肌着とかおもちゃとか……おむつカバーとかね、捨てらんなくて、取っておいてるのよー。もし柏田さんが出産なら、まとめてあげようと思って」
 あげる? 押しつける、の間違いじゃないの? 私は心の中で毒づき、舌打ちをした。胸の鼓動はどんどん早くなる。なんだかお腹が痛い。早く帰りたい。
「だからね、聞いてみてよ」
「ご自分でお確かめになったら如何です? ついでに、子どものものがあるんだけどってお話しできるじゃないですか」
「もし違ったら恥ずかしいじゃない!」
 私ならよいというのだろうか?
「ほら、佐々木さんところまだ赤ちゃんいないでしょ? だからこう……もしかしておめでた? 羨ましいわぁ、なんて感じで気軽に話が出来ると思うのよ」
 もう限界だ。吐き気もしてきた。
「あっと、私そろそろ部屋に戻らないと。お鍋に火をかけてきたんです!」
 私はそう言い捨てると、ちゃんと聞いておいてね、と叫ぶ奥さんを無視して、息を切らせて部屋に戻った。
 玄関にしゃがみ込む。心臓に手を当てる。まだ動機は収まらない。
 ふとカレンダーを見る。今日は、夫とセックスする日。排卵日だ。
 ****************
 夫と知り合い、結婚して、最初は順調だった。子どもが出来たら子ども部屋も必要だろうから、なんて言って、狭いところを引き払い、今のマンションに越してきた。近くに小学校も中学校もあり、小児科も多い。それに住んでる自治体は子育て支援も充実していると聞いていた。
 3年たっても子が出来ず、病院に行った。私の身体が少々妊娠困難だと、辛い宣告を受けた。
 不可能ではないのだから、まだ若いのだから、いつかできるよと、夫や実母には慰められた。
 マンションのローンがきつく、私は持病があってフルタイムで働くことが出来ないため、本格的な不妊治療は行えない。
 子どもが欲しい。欲しい!
 子どもがいないから、自分は不幸なのだと思う。基礎体温を計り、排卵日を求め、その日に子作りのためのセックス。それ以外の日にはやらない。
「子どもいないんだから、暇でしょ?」
 子どもがいないから、マンションの管理自治会の仕事も押しつけられる。
 事情を知らない、義母からの孫はまだか攻撃も未だ続いている。
 夜中に赤ん坊の泣く声が聞こえたり、母にしかられ泣いている子どもを見かけたりすると、たまらなく辛い。
 隣の部屋の柏田さんの奥さんは、私より三つ年下だ。
「私、子ども嫌いなんですよ。もちろん、作るつもりはないです。隣が、子どものいないお宅でよかったー」
 入居の挨拶時、無邪気にそう言い放ったっけ。私があの時笑顔の下で、どれくらい傷付いていたか。
 その柏田さんが妊娠ですって? 私は動揺が隠せなかった。
 ****************
「ああ。バスで旦那さんに会ったんだけど、そう言ってた。初めて聞いたのが二ヶ月くらい前だから……もう随分になるよ。おまえ知らなかったのか?」
 帰宅して、シャワーを浴びた夫に、下の奥さんにこんなことを言われて辛かったと訴えたら、あっさりそう言われた。
「どうして話してくれなかったの!」
「だっておまえ……」
 誰々が妊娠したって話聞くと、落ち込むだろう――夫はかろうじてこの言葉を飲み込んだらしい。
「ねえ、あなた、お夕食は召し上がってきたのでしょ?」
「ああ、食べてきた」
 夫はいつだってそうだ。会社の同僚やら取引先の人なんかと食事は済ませて帰宅する。私の顔を見ながら、食事はしたくないと非難されているように感じる。
「じゃあ、そろそろ……」
「あ? ああ」
 夫の顔が曇る。わざとらしくカレンダーに目を向ける。
「分かったよ、やるよ」
 わざとらしいため息。すたすたと寝室に行き、ズボンをおろす。
「ほら、来いよ。疲れてるんだ。さっさとやっちゃおう」
 ムードもへったくれもない。もう数年、こんな感じだ。
 慣れたとはいえ、やはり傷つく。だが、きっと夫の方も同じなのだろう。いつだったか、酔った勢いで
「俺はおまえにとって子作りの道具」
 なんて言っていた。
 寝室に行き、私はネグリジェをまくり上げる。夫は面倒くさそうに私を抱えてベッドに横たえ、下着を脱がす。そして傍らのゼリーを陰部に刷り込み、ぐいと腰を張らせる。
「あ……ううっ!」
 潤いもしていない乾いた膣壁が、夫のものをねじ込まれ、悲鳴をあげる。
 夫の顔は正常位に向き合った私に向けられているものの、目は、全然違うものを見ているように思えた。
 せめて、キスでもしてくれたらと思い、そっと首に手を回した。
 だが夫は全く意に介さず、やがて目を閉じてピストンを繰り返しはじめる。 
「ああ、あああっ!」
 物理的には、感じる。やがて膣も潤いはじめ、身体が火照りはじめる。
「ううう……っ」
 けれども、私が高みに達する前に、夫は放出を終え、これで仕事は終わったろう? とでも言わんばかりの態度で背を向けた。
「ねえあなた、自分でなんてしていないでしょうね? なんだか、量が少なかったような気が……」
「してないよ!」
 私は夫を愛していた。愛していたからこそ、ふたりの子どもが欲しかったはずだった。けれども夫との関係は悪くなる一方だ。子どもさえ出来れば、また仲良くなれるのだろうか? 
 ****************
 お隣の柏田さんはいよいよ臨月に入り、里帰りをすることになった。
「お産は実家でするって決めていたんですー。赤ちゃんすごい楽しみ! 佐々木さんはどっちだと思いますか? 男か、女か」
「さあ?」
 大きな荷物とお腹を抱えた柏田さんと話をするのはきつすぎた。けれど、きっと赤ん坊を連れて帰ってきたら、私はもっと耐えなければならなくなるのだろう。
「帰ってきたら、赤ちゃん見せにきますね! あのね、母親学級で言われたんですけど、育児ノイローゼって言うのがあるんですって。それを防ぐためには、赤ちゃんを近所の人に預けて、たまにママひとりで外出したりするといいんですって!」
 この妊婦は何を言っているのだろう? まさか私に赤ん坊を預かれと、まだ産みもしていないうちから言っているのだろうか。
「ほら、そろそろ行くぞ」
 柏田さんのご主人が、困ったような表情を私に向け、深々とお辞儀をする。奥さんが無神経な分、どうやらご主人は思慮深い人のようだ。
 難産になればいいんだ。苦しんで苦しんで産めばいい! そんなことを思ってしまう自分の狭了さに、私は愕然とするばかりだった。
 ****************
「いいんですか、本当に?」
「どうぞどうぞ」
 ある日のことだった。会社帰りの柏田さんがうちにゴーヤを持ってきた。会社の人に頂いたのだが食べ方が分からないのでもらって欲しいと訪ねてきたのだ。だったら一緒に食べましょうと、私は半ば無理矢理に柏田さんを家に誘った。
 柏田さんはなかなか出来た人だ。奥さんとは大違い。
「すごい、上手いな。ゴーヤってこんなにおいしかったんだ!」
 私の作ったゴーヤチャンプルを夢中でかき込む柏田さんをぼんやり見ながら、ああ、こんな人が夫だったらいいのにと、そんなことを考えていた。夫は家で食事をしない。最近では、殆ど話しもしてくれない。帰宅は私が寝たあとだ。
「そう言えば、ご主人はまだご帰宅なさらないんですか?」
「ああ、出張中なのよ」
 ホントに出張中だかあやしいものだ。最近、香水の香りを付けて帰宅したことがあった。
「あ……。そうなんですか。おっと、ちょっと失礼します」
 柏田さんの携帯が鳴った。
「もしもし、ああ。順調か? そうか、よかった!うんうん。そうだな、今度の休みにはそっち行くよ……」
 奥さんからの電話か――。
 私はなんだか、無性に腹が立ってきた。私はこんなに不幸なのに、どうしてあの、子どもは嫌いだと言い放った奥さんだけが、幸せなの? 
 ぶちこわしてやりたい。
 理性で押さえることが出来ないほどの、激しい衝動だった。
「うん、じゃあな、先生の言うこと聞いて身体大事にしろよ」
 電話を切って、こちらに顔を向けた柏田さんが、ぎょっとしたような表情を見せた。
 それはそうだろう。隣の奥さんが、下着姿でそこに立っていたのだから。
「お、奥さん?」
 柏田さんは、殆ど椅子からずり落ちそうになっている。 
「私、ずっと柏田さんのこと好きだったんです……」
 私はずりずりと距離を詰めていった。
「柏田さん……」
 柏田さんは、完全に固まっていた、私はどんどんと近づく。ダイニングの椅子に腰掛けている柏田さんの膝に尻を乗せ、両手を真っ青になっている首の後ろに廻す。顔をゆっくりと近づける。
 ごくんと、唾を飲み込む音。波打つ喉。
「あんっ!」
 尻たぶに、固いものを感じて、私はワザと甘えた声をあげて見せた。柏田さんの勃起だ。柏田さんの頬がさぁと赤らんでいく。
「うれしいわ……」
「うう……」
 唇を寄せ、身体をべったりとすり寄せた。柏田さんの手が、おずおずと私の乳房に伸びる。
「んんん……っ!」
 最初は遠慮がちに、やがて大胆に。ブラジャーの中に手を入れ、乳房を揉みしだいてゆく。柏田さんの唇が私の首筋を伝い、肩を優しく噛む。
「ああ、あ。あ……っっ!」
 こんな風に愛撫されるのは、久しぶりだ。嫉妬から誘ったのだったが、私は本気で燃えはじめていた。スイッチが入ったかのように、下半身が緩み、いやらしい液が淫肉を湿らせ、溢れる。
「あ、あ……」
 大胆にまたがった私の肌を、柏田さんは座位のままで舐る。ブラジャーははずしてしまった。柏田さんは私の乳房を、赤ん坊のようにしゃぶり、弄り廻す。
「ア、あン、クぅぅぅ……」
 子作りばかりに気を取られ、忘れていた快楽のためのセックスの記憶が、急速に私の中に蘇る。身体に触れられるのが、こんなにも気持ち良かったなんて!
「立って……」
 柏田さんに促され、私はよろよろと立ち上がる。いけない……快感で脚が痺れて上手く立てない。
「あ……っ」
 座ったままの柏田さんの手が、私の下着の中に入る。指が、粘膜の中へ沈んでゆく。
「ああ、ああああ……」
 私は手を後ろに回し、テーブルで身体を支える。指は器用に、そしてリズミカルに蠢き、私を堕としてゆく。 
「私、もう、もうダメェ……」
 息絶え絶えに、私は腰を折って柏田さんの肩に頭をもたれ、ねだった。
「ねえ、入れて。ガマンできない」
「自分もですよ」
 柏田さんはそう言うと立ち上がり、服を脱いだ。ああ、なんて立派なペニス。ペニスなんて私の子宮に精子を運ぶためだけのものだと思っていたけど、そうじゃないのよね――。
 私は柏田さんの手を引き、リビングのソファへ案内した。柏田さんは私をソファに押し倒し、内腿をさする。私のあそこは準備万端だ。
「きて……」
 固く熱い塊が、ぐいぐいと私の淫肉を広げ、沈み込んでゆく。
「ああ、ああああ……っ!」
 ものすごい、快感。柏田さんも、奥さんが妊娠、里帰りでずっとしていなかったのだろう。初めからハイペースな激しい腰使いで、私を狂わせる。
「あん、アアンンン!」
 気持ちいい。たまらない。身体が痺れる。全身が火照り、頭がくらくらする。
「うう……」
 やがて柏田さんが、短いうなり声を上げ、腰を引こうとした。
「いや、一緒に!」
 私はぐいと柏田さんの腰を抱きしめた。膣壁を刺激する降り注ぐほとばしりの中で、果てていった。 
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 瞬間、息を呑んだ。
 それは、彼の方も同じだったらしい。元から大きな瞳が、私を認めたとたん、一回りくらい、大きくなっていた。
 けれども私たちはお互い、声を掛け合うことはしなかった。……いいえ。しなかったのではない。出来なかったのだ。
 私も彼も、もう大人だ。高校の時の同級生を目の前で見つけたからといって、きゃあきゃあ騒ぐような子供ではない。それに、状況もそれを許さなかった。
 私と彼が、お互いを旧知の人間だと認め合ったそこは、小学校の教室だった。
 私は、新一年生の息子を持つ母。そして彼は……息子の担任として、その場に現れたのだから。
 ****************
 私はいわゆる「ヤンママ」だ。十代で出産し、高校卒業を待ってそのまま結婚した。子供はひとり。今年新一年生になる息子だけだ。
 大学生だった夫は、結婚を機に大学を中退し、知り合いの会社で勤めをはじめた。両親の反対を押し切っての結婚だったから、金銭的に辛くても、実家を頼ることが出来ず、私と夫は二人三脚で頑張ってきた。
 幸い息子は健康で、健やかに育ってくれた。大人しく、手のかからないいい子で、私はそれが自慢だった。
 だけど、私はいつも孤独だった。
 子供を連れて出るいつもの公園でも、幼稚園でも、私は最年少の「ママ」だ。高齢出産が増えているからだろうか。まわりのママさんは私より一回り以上年上も少なくない。そんなママさんは経済的にも豊かだから、やれスイミングだ、やれピアノだと、うちの経済力ではとても通わせられないスクールの話に夢中だったり、私がぼんやりとしか分からない古いテレビ番組の思い出話をしたり。
 あからさまに私を拒絶したりすることは一切なく、みんなとても親切でいい人だったけど、私はいつも疎外感を感じていた。
 ふと見ると、私と同じ歳の女性が、今が花の時期よとばかりに綺麗に着飾り、積極的に遊んだり、バリバリ仕事をしたりしている。高校時代の友人とも、すっかり疎遠になってしまった。早々に主婦になった私と、彼女たちとでは遊べる時間帯も、話題も合わない。
 十代で妊娠したことを後悔し、思わず涙をこぼしたこともある。そんな私を息子がじっと私を見ていた。やりきれない想いが重なるばかりだった。
 息子が小学生になったから、働きにでも出ようかと、私は就職活動をはじめた。
 正社員として働くのはとても難しかったから、パートを捜していた。
 4月の終わり。とても暖かな日のことだった。
「あ……」
「あら」
 子供を夫に預け、パートの面接に出た帰り。
 面接官の感触が悪く、またダメだったかなとため息をついていた時に、見知った顔を見つけたのだ。
 息子の担任教師――私の高校生時代の同級生、松前君だった。
「どうも……えーと」
「息子がいつもお世話になっています」 私が深々と頭を下げると、
「いえいえ。こちらこそ」
 と、彼は少し笑った。
 お互い、しばらく顔を見つめ合い、気持ち悪いくらいに笑っていた。個人的に話をしたのは、初めてだ。来月の個人面談ではイヤでも顔を合わせるだろうとは思っていたが、まさか道でばったり会うなんて。
「今更確認するのもなんなんだけど、君、旧姓山本さんだよね? えーと、2組だった山本志織?」
 確認もなにも、彼は確信していたのだろう。何たって、すっかりタメ口だ。
「そうよ、松前くん。ビックリしたわよ。まさか息子の担任が松前くんだなんて」
「ばか! 俺の方が驚きだよ。そりゃあさ、教師やってりゃあいつかは知った奴の子供を受け持つかもしれないとは思っていたけどさ、まさかこんなに早くこんな状況になるなんてさ。山本が妊娠したとき、クラス中大騒ぎだったもんなー。あの時の子が和樹君?」
「そうよ。大きくなったでしょう。あの子が2組を大混乱に陥れた張本人よ」
 入学式の時にははじめてクラスを受け持ちますと、ガチンガチンに緊張し、時折おかしな敬語を使って父母たちの失笑を買っていた松前君だったが、今はリラックスして話していた。私はこんな風に友達同士の会話をするのは久しぶりだったから、なんだか、ウキウキとしていた。
「あのさ、立ち話はちょっとまずいんだよね。一応、教師だからさ。学外で特定の生徒の保護者と親しくしてると、なんだかんだウルサイ連中もいるんだよ。俺のアパートさ、すぐ近くなんだ。ひとり暮らしで汚いけど、良かったら寄ってかない?」
「え?」
 ドキンとした。
 ひとり暮らしの男性の部屋に入るという状況が、とっさに理解できなかったのだ。けれど松前君はニコニコと屈託なく笑っている。
 ああそうか。私は子持ちの主婦だ――普通の若い女性というわけではない。しかも相手は、息子の担任教師だ。
「あ、ごめん。やっぱりやばいか。いや、懐かしくってさ。気づいたときから、気になってたんだよ、山本のこと。ああ、今は酒井さんか」
 私が躊躇していたのを見て、松前君は慌てたようにそう言った。
「ごめんごめん。やっぱりまずいよな」
「ううん。行きましょ。どこなの? それに、山本でいいわよ」
「いい? じゃあこっち。ついてきて」
 松前君は、私が子持ちの主婦ではなく、たとえばOLだったとしたら、こんなに気軽に部屋へ誘っただろうか――? ほんの少し寂しさを憶えた。
 ****************
「だいたいさぁ、こっちは一応プロなんだよ。それなのに父兄は、俺が自分より歳下で子供がいないってだけで、若い奴に子供のなにが分かるんだとか、ちゃんと教えているのかだとか、ああだこうだ口出してきてさぁ……」
 彼の部屋は案外と片づいていた。ひとり暮らしの男性の部屋なんて、付き合っていたころの夫の部屋しか知らないから分からないけど、こんなものだと思う。
 部屋は2つ。片方は寝室なのだろう。扉を閉めっぱなしにしているから、中は見えない。私は、居間に通された。すぐ脇にキッチンスペース。板張りの居間には、カーペットが敷いてあり、小さなガラスのテーブルと大きめのソファ、そしてテレビとデスクトップパソコンが置いてある。あとは本棚だ。
 本棚には、教育関係の本が並んでいる。何冊かは、背がすり切れていた。彼は、思っていたより、真面目な教育者なのかもしれない。 
「それに最近はあれだぜ? どっかのバカどもが子供相手に変な事件起こすからさ、若くて独身の男性教師だってだけで、神経質になる親なんかもいてさ」
「大変ねぇ」
 最初は、出されたインスタントコーヒーを前に、お互いの近況なんかを報告し合っていた。けれど途中から、松前君は愚痴をこぼしはじめていた。
 おそらく……溜まっていたのだろう。小学校には赴任したばかりで、愚痴をこぼせる同僚はまだいないようだった。周りは厳しい目を向ける父兄たちと、彼を品定めしている学校関係者ばかりで、息が詰まっていたのだろうと容易に想像できた。
「こっちは、最初から教師志望だったんだよ。それなのに、よそで就職できなかったから教師になったんだろうなんて勘ぐるやつまでいてさ」
「今の小学生のお母さんお父さんって、私たちより一回りは年上だったりするじゃない。情報もそれだけ蓄積してるからさ、その分疑心暗鬼になりやすいのよ。それに、私たちくらいの歳でバブルを体験した世代でしょ?」
「お、山本分かってるじゃん」
「だって、私も子供関係でおつきあいする人たち、みんな年上で……」
 彼のペースにすっかりはまってしまった私は、自分の溜まっていた愚痴も、ぽつぽつとこぼしはじめていた。
 私たちはお互い、立場も環境も違ったけど、孤独であることに間違いはないようだった。
「俺さ」
 唐突に、松前君がつぶやいた。
「山本が妊娠したって噂聞いたとき、すごいショックだったよ」
「みんなショック受けてたみたいね」
「違う、そんなんじゃないよ。俺、山本のこと、ちょっとイイなって思ってたんだ。だから……」
 私たちの間に、微妙な空気が流れた。どちらかが、あのころが懐かしいわね、なんて笑えば、また賑やかに会話を進められたかもしれない。
 けれど私も彼も、そうしなかった。
 私たちはお互い孤独で、そんな中、思春期の混乱を一緒に乗り越えた懐かしい顔を見つけ、寄り添い合いたかったのだろう。依存? そうかもしれない。
 私たちは、どちらともなく、唇を寄せ合っていた。
「ああ……」
 私は夫がはじめての人で……そして最後の人だと思っていた。私は他の男性を知らない。
「山本。舌、出して……」
 彼の唇は柔らかくて優しくて、夫とは全然違った。私がほんの少し伸ばした舌を彼は唇で優しく挟み、強く吸った。
「ん、んんんん……っ」
 こんなキスを、私は知らない。身体の力が抜ける。彼は私の側に寄り添い、舌を愛撫しながら、私の肩を支えてくれた。
 私はそのままソファに押し倒される。彼の唇は私の首筋へと移動し、私は甘いため息をこぼした。
 ああ。こんな風に優しくされるのは、何年ぶりだろう。夫も、始めは優しかった。けれども今は、こんなに優しく柔らかく私を抱くことなんてしない。
 私の服を脱がしながら、唇を首筋から胸元へ移動させる彼の頭を私は強く抱きしめた。
「あんっ」
 彼の熱い手が直に乳房を覆い、揉みしだく。唇が乳首を吸いあげる。
 甘い快楽が身体中を走り抜け、下半身がじんと緩んだ。足にあたる松前君の股間が、厚手のジーンズ越しでもはっきり分かるくらいに、固く膨張しているのを感じた。
 欲しい――。たまらなく、彼が欲しかった。私は思いがけないほどに乱れた気分で高ぶっていた。
「これ……」
 伸ばした手で、彼の股間に触れる。
「うう」
 私の乳房から口を離し、松前君は短く呻いた。
「欲しい」
「色っぽいこと言うなよ。たまんない」
 私は手で強く、彼のいきり勃った股間をジーンズ越しにさすりあげた。  
 ****************
 夫と子供以外の男性に裸で抱きしめられたのは、初めてだった。
 彼の身体は大きくて、温かかった。肌を寄せ合っていると、体温が直に伝わる。重ねた身体に、彼の心音が響く。抱き合っているだけでこんなにも心地よさにうっとりとするものだったろうか? こんなにも柔らかい気持ちになったのは、本当に久しぶりだ。
「ねえ、いいでしょ?」
「え?」
 私は彼をソファに寝かせて、彼の下半身に自分の身体をずらした。
「ちょっと、そんなコトしなくていいんだよ!」
「私がしたいのよ」
 私は、自分でも驚くくらい、大胆になっていた。快楽だけに身を任せて行動することがこんなにも楽しいなんて。
 私は彼の赤黒い勃起に手を添え、軽く握りしめた。手の中でそれはぴくんぴくんと脈打ち、手のひらをくすぐる。
 私はゆっくりと唇を開け、口内に肉棒を咥え込み、舌を絡めた。
「う、うう」
 彼のそれは熱くて、固くて。私の口唇内で何度も痙攣のように震えた。大きなそれは、とても口の中へ入りきらない。唇と膨張した肉との間から唾液がこぼれ、彼の茂みを濡らす。
 私の脚の間も、自覚できるくらいにびしょ濡れだ。恥ずかしいくらいに……まるで、何年も男に構って貰っていない女のように、私は飢えていた。
「あう、うう、うううう」
 私は、夢中で彼のペニスを咥え、しゃぶり続けていた。やがて彼が私の頭を抱き、もういいよと目で合図するまで。
「挿れるよ?」
 私を抱き、彼は優しくソファに横たえる。そして唾液まみれになった唇を吸いながら、正常位の格好で脚の間に腰を据えた。
「ああっ!」
 鋭い快感が、全身を貫く。彼も飢えていたのだろうか。まるでセックスを憶えたばかりの若者のように、激しく肉をぶつける。
 彼の……私を貫いているのが、息子の担任教師の肉棒だということにはたと気づき、四肢が思いがけないほどに熱く震えた。
「あ……、松前センセ……」
 私の口からこぼれたその言葉に、彼もまた反応する。私の膣内で肉棒がいっそう膨張し、肉壁を擦りあげる。
「ああ、あああ。先生、先生!」
「山本……うっ、ううう」
 イッたのは同時だった。いや、私の方が少し早かったかもしれない。抱き合った松前君の頭髪に一筋の白いものを私は見つけ、たまらなく愛おしかった。
      
「実は、就職活動に専念することにしようかと……。もちろん、高校合格までは一生懸命お手伝いさせて頂きますが、それ以降については、塾の方から、別の人を紹介させて頂きます」
 和哉はそう言って頭を下げた。
「和哉先生、やめちゃうの?」
「誠くんが高校受かるまでは、やめないよ。高校に入ってからは、別の先生になるんだ」
「残念だなー」
「あはは、ごめんよ。でも、どの先生もみんないい人だよ」
 和哉が息子の誠と話している間、私は立ちすくんでいた。頭が真っ白になって、なにも言葉が出なかった。
「お母さん、そう言うことですので」
 和哉に話しかけられ、ハッと自分を取り戻す。 
「そうですか……分かりました。残念です。とても……残念です」
 上の空で、答える。
「誠も……先生のこと、慕っておりましたから」
 本当に和哉を慕っていたのは、私の方だった。
 
 長男で一人っ子の誠には、学習障害がある。はじめは普通の学習塾に通っていたが、集団の指導にはついていけず、塾から家庭教師を派遣してもらうことになったのだ。
 それが、大学生の和哉だった。
 和哉は自分にも学習障害のある弟がいるということで知識もあり、誠にも精一杯に指導をしてくれていた。
 優しくて、落ち着いていて……礼儀正しく気持ちの良い青年だ。
 誠に関する私の悩みや、通っている発達心理の専門医には話しづらい家族ならではの相談にも乗ってくれていた。
 仕事が忙しく、出張も多い夫なんかよりずっとずっと、子育てしていく上で、和哉はいつの間にか、私の心のよりどころになっていた。
 そう。
 最初は、誠に関してのなくてはならない相談相手という感じだった。だけど私は、なんとなく気付いていた。
 私はひとりの男性として、ひとまわり以上も年下の……息子の家庭教師である和哉を、本気で愛していることに。
 私にとって週に1度、和哉が家に来る日は、特別な日になっていた。
和哉は私に会いに来るわけではなく、家庭教師の仕事をしに、息子の誠のところへ来るのだということは十分に分かっていた。実際、和哉が私と話をするのは、月に2度、保護者への学習進行の経過報告ということで取っている、わずか十五分程だけだ。
 たいてい誠が一緒にいることが多いし、プライベートなことを話す機会はほとんどない。けれども、時折雑談のような感じで和哉が誠の学習とは無関係な話をしたりすると、それだけで私はときめいてしまうようになっていた。
 こんな年下の男の子に自分が気持ちを傾けているなんて、とても信じられないような思いだった。最初は、夫との仲が微妙になっている自分が、現実逃避で身近な異性である和哉を求めているのかとも思っていた。
 でも、そうだとしたら、この張り裂けそうな胸の痛みはなんなのだろう?
 もっともっと、和哉のことが知りたかったし、私の話を聞いて欲しかった。
 無論、私は分別のある大人であり、母親だという自覚は持っている。
 結婚している主婦なのだから、息子の家庭教師という立場の和哉に自分の気持ちを悟られるようなことは極力避け続けた。第一、和哉のような若くて素敵な男の子が、一回りも年上の子持ち主婦なんかを相手にするはずはない、という、まあ、当たり前に考えられることも、私の感情の暴走には、良いブレーキとなっていた。
 それでも時折、和哉への募る思いが押さえきれなくなったとき、恥ずかしい話だが、何度か携帯電話で出会い系のサイトへ繋いだ。
 カズヤ、というハンドルネームを意味もなく探し、それが本人ではないと分かっているのにメールを出してしまったり、電話でテレフォンセックスをしてしまったり……。
 ばかばかしいと自分でも分かっている。けれど、『カズヤ……』と名を呼び、相手にも自分の名前を呼んで貰えるだけで、どうしようもないほどに身体が火照り、震え、高揚した。
 カズヤ、カズヤ、と声を荒げながら乳房を弄り、びしょびしょに濡れた割れ目に指を突き立てるだけで、私は激しく乱れ、夫とのセックスですら感じたことがないくらいに興奮し、いやらしい言葉を並べ立てる。
――ああカズヤ、大好き、大好きよ。あなたのチンポを頂戴……
――カズヤ、本当に愛してる。もっともっと、私のこと気持ち良くして、弄って、ぐちゃぐちゃにして――!
 和哉の顔を、姿を思い浮かべながら、私は気をやる。
『すごく良かったよ……ねえ、実際に会ってみない?』
 電話の向こうの『カズヤ』にそう言われ、ハッと我に返る。
 慌てて電話を切り、そして自己嫌悪に浸る。
 なんて私はいやらしい女なんだろう。息子の家庭教師を好きになり、抱かれることを想像して無関係の男相手にテレフォンセックスにふけるなんて。
 でも、そうやって気を紛らわせていないと、耐えられなかった。和哉への淫らな気持ちを、私は普段必死に押し殺しているのだから。
 和哉が2階の誠の自室で誠の勉強を見ている間、私は1階のトイレに篭もり、声を殺してオナニーにふけることもしばしばだった。
 いやらしい匂いをまき散らす下着をつけたままで、来週もよろしくお願いしますと、頭を下げる。
 淫乱で、ひどい母親だと自分でも思う。けれどそうやって私が劣情を隠していれば和哉との和やかな関係は続くのだから、その方がいいじゃない? ずっと、そう思って、気持ちを抑え続けてきた。

 それなのに、来年度はもう来ない?
 誠の家庭教師を辞める?
 私の中のなにかが、ガラガラと崩れ落ちていくのを感じた。

「お呼びだてしてスミマセン」
「いえいえ、なにか困ったことでもありましたか?」
 ある平日の午後。私は学習塾に電話して、息子の今後のことや、後任の家庭教師について相談があると、和哉を呼び出した。
 今日、息子の誠は学校から直接、私の実家に泊まりに行くことになっている。夫の帰りは遅い。かなり長い時間、私と和哉はこの家でふたりきりになれる。
「どうぞお座り下さい」
 ソファに座らせ、私は和哉にお茶を出した。和哉はテーブルの上に、なにやら書類を広げている。後任家庭教師の資料か何かのようだ。
「誠くんは難しい生徒ですからね。お母さんが後任の家庭教師について不安に思っているのはよく分かります。ですが、引き継ぎはしっかり致しますし、経験のある講師を派遣しますから、ご安心なさって大丈夫ですよ」
 黒いセーターに、ジーンズの和哉。美青年とは言えないかもしれないが、笑顔が人なつっこく、心根の優しさや正しさが、顔に出ている和哉。ああ、和哉。やっぱり、この和哉に会えなくなるなんて寂しい。耐えられない。
 だからせめて……。
「塾はお辞めになるということですよね。個人的に……塾を通さず和哉先生に家庭教師をお願いするということは出来ないのでしょうか?」
「先日もお話ししましたとおり、僕は今度4年になります。就職活動に専念したいので、アルバイトは一切やめようと思っているのです」
「残念です」
「そう言って頂けて嬉しいです」
「誠も残念がっておりますが、何より私が、残念でたまりません」
 自分でも、声が震えるのが分かった。お茶を手にし、飲み干す。
「私、和哉先生のこと、だ、大好きでしたから」
「ありがとうございます」
 和哉は普通にそう言い、頭を下げた。
 まさか、一回りも年の違う私が、自分に愛の告白をしているなんて思ってはいないのだろう。単に「息子の家庭教師として評価している」程度の事を私が言っていると思ったようだ。
 違う、そうじゃない、そうじゃない!
「先生のこと、お慕いしておりました。お会いできなくなるのが、辛いのです」
 そう言いきった私の顔を、和哉はしばらくきょとんとして眺めていた。
「ずっと、気持ちを抑えておりました。先生、もういらっしゃることがないのなら、私のこと……だ……だ……」
 和哉の顔が、みるみる赤く染まる。
「抱いてください!」
 テレフォンセックスで、架空のカズヤに対しては、あれほど大胆にいやらしい言葉が言えたのに、本物の和哉を目の前にした私の口からは、そんなありきたりな言葉しか出なかった。
 それでも私は懸命だった。そしてそれを言った瞬間、羞恥でいっぱいになり、どうしようもないほど身体ががたがたと震えた。
 和哉はなにも答えてはくれない。このオバサン、なにを血迷ったんだ? そんな風に思っているのかもしれないと思うと、消えたかった。
――ゴメンナサイ、冗談です忘れてください――
 そう言ってごまかそう、告白しただけで、それだけでもういい。
 そう思っていると、すっと、和哉が立ちあがった。
 怒らせたんだ! 帰ってしまう。
 私も慌てて立ち上がり、真っ青になって言い訳の言葉を探した。
 だが和哉は私の方に近寄ると、そっと肩に手を置いてくれた。
「あ……」
 温かく大きな和哉の手。
「気付いていました。寂しい思いをさせて、本当に申し訳ありません」
 和哉の顔が近づく。
「んん……」
 目を閉じる。唇に生暖かい息づかいを感じた。  

「あ……ああ、アアアッ」
 和哉のためにつけた黒い上下のランジェリーが、肌を擦る。
 和哉は半裸になって、私の首筋を、肩を、そして下腹部を指でまさぐる。
「ああっ」
 ブラジャーが外され、乳房があらわになる。
 形の崩れた乳房が恥ずかしくて、私は隠そうと手を添えた。だが和哉はその手を優しく噛み、手の下からこぼれた尖る乳首を口に含んだ。
「ああ、あああ……」
 夢のようだった。
 和哉に、和哉に抱かれているなんて!
 和哉は私の身体を柔らかく愛撫し、そして高めてくれた。テレフォンセックスの相手のように、下品な言葉を要求することもなく、ひたすら私を感じさせてくれていた。
「あううう、んんんん……っっ」
 手を伸ばす。和哉の膨れあがっている下着に触れた。優しく包み、揉みしだく。
「うう……っ」
 和哉が顔を崩し、声をあげる。
「横に……なって下さい」
 私は和哉を仰向けに寝かせ、下着を外すと顔を下半身へ近づけた。
 ああ、和哉の大きなチンポ。若いというのはこういう事か。触れてもいないのにぴくんぴくんと脈打つ。
 鉄のように熱く固いそれは、お腹に張り付いたように勃起している。
 私は、タマの方から舐めあげるように切っ先に向けて舌を這わせた。
「くぅ……」
 悩ましい和哉の声。私は夢中で勃起を口に含んだ。
 じゅぼじゅぼと音を立てながら、夢中でしゃぶる。今後和哉がどんな女にしゃぶり付かれても、私のことを思い出すように……知っている限りのテクニックを惜しげもなく使い、和哉に甘い声をあげさせた。
 愛しい和哉のペニスが震える。私は手指も使い、タマからサオから……和哉のアヌスまでも夢中で舐めあげた。
「すご、すごすぎます……もう、お母さんの中に、入らせてください……」
 和哉の吐く荒い息遣いと、舐めあげる淫音がまじり、いやらしく響く。
 和哉が上半身をあげ、逆に私を押し倒した。
「こんな悪いお母さんだなんて……」
 和哉は少し乱暴に、私のショーツを剥ぎ取り、脚の真ん中に勃起を突き立て、一気に貫いた。
「アアアアッッ!」
 夢にまで見た瞬間。身体が宙に浮いてしまうかのような錯覚が私を襲った。
「すごい……こんなに……濡れてるなんて……。それに、柔らかい」
 和哉は夢中で腰を動かす。理性のタガがはずれたかのように、乱暴に、私を突きまくる。
「ああ、ああああ、ああアアッ!」
 和哉の中に、こんなにも激しい一面があったなんて。
 私たちは夢中でお互いの身体を貪りあい、何度も何度も、クライマックスを迎えた。
「ああ、和哉、和哉……」
 和哉の名前を本物の和哉の前で……。何度も何度も呼びながら、私は終わりの見えない絶頂の声をあげ続けた。
 待ち合わせ場所は、人の多い喫茶店が安全だ。何かあったときに人目があるのとないのとでは、全く違う。
 少し早めに来て、入ってくる男性客に注目する。
 目印を持った男が、あまりにもタイプとかけ離れた場合はそのまま無視して、店を出る。まあいいんじゃないかしらと思えたら、さっとテーブルの上に、目印として持ってきている真っ赤な革の手帳を出しておく。
 気付いた男が近づいてくる。私はにっこりと微笑んでみせる。
「マキコさんですか?」
 私は頷き、座ったままで男に視線を向けたまま、軽く頭を下げる。

 私が出会い系サイトにハマり、そこで火遊びを繰り返すようになったのは、ほんの数ヶ月前だ。もうすでに、十人以上の男と関係を持っている。
 上は50過ぎから、下は……高校3年生の可愛らしい坊やまで。この中の七人とは、今でも継続的に関係を続けている。
 それでも、飽き足らない。毎日、誰かに抱かれ、犯されていなければ気が済まない。
 だから私は今でも出会い系を続け、会える男を漁っている。私のスケジュール帳を、毎日男との逢瀬で埋めたい。そうしなければいられないのだ。

「驚いたな。こう言ったら失礼かもしれないですけど、マキコさんって、見た目は貞淑な人妻って感じじゃないですか。その……なんていうか……」
「出会い系をしているようには見えませんか?」
「そうですね」
 目の前の男――五日ほど前に出会い系サイトのチャットルームでチャットエッチを楽しみ、実際に会おうという話になった香川という、私よりちょっと年上の三十三歳の男は、苦笑しているようだった。目に、不安のかげりが見える。
「ご心配ですか?」
「いえ、あの。君と会ってたら怖いお兄さんが出てくるとか……」
「いやだわ、そんなんじゃないです」
 この男、美人局を心配していたのか。そういうのにひっかかったことがあるのかしら?
 香川は、ビジネススーツを着ていて、脇には書類ケースを抱えていた。仕事を午前であがってくると言っていたのを思いだした。
 髪型も整っているし、靴も上等だ。もしかしたら、結構いいところの会社員なのかもしれない。
「正直言うと、出会い系サイトで知り合った人と実際に会うのは、今回が三回目なんです」
 香川は話し始めた。
「一人目は、会ってすぐにお金を要求してきました。その場で別れました。面倒はいやでしたから。二人目は、男連れで来ていました。待ち合わせの場所へ行く前にそれが分かったので、逃げました」
「あら」
 私は、思わず笑ってしまった。
「それなのに良く、三人目と会おうなんて思われましたねぇ」
「チャットでの感じがすごく良くて、期待してしまいました。実際お会いしたら、期待以上で……あまりにも普通に上品な奥さんだったので、逆に警戒してしまって……」
「私、ちっとも上品なんかじゃないんですよ……私、ちょっと変わっていて」
 私は香川に好意を持ち始めていた。セックスの相性が良ければ、長く付き合っていけそうな予感がした。香川の薬指に、リングがあるのも確認していた。妻子のある男の方が、こちらも気が楽でいい。
「ここを出ましょう、二人きりになれる場所でお話ししたいわ。いいでしょ?」
 男の喉元が動いたのを、私は見逃さなかった。ズボンに隠された股間が大きく膨らんでいればいいのにと、私はそんなことを思っていた。

 私が自分性癖に目覚めたのは半年前だ。
 出かける用事があり、久しぶりに乗った満員電車の中で、それは起こった。
 ぎゅうぎゅう詰めの車内で尻に当たっている物を、私は最初、誰かのカバンか何かだと思っていた。それが手だとは分かったが、その時はまだ、痴漢だとは思いも寄らなかった。これだけ混んでいる車内なのだから、と。
 それが偶然でも、混雑した車内で身動きが取れないためでもないと確信したのは、尻に押し当てられていた拳が開き、私の尻にピッタリと手の平を添え、撫で回し始めてからだ。
 ムンムンとした熱気の篭もる車内で、サーと血の気が引き、背筋が冷たくなるのを感じた。
 痴漢なんて、十年以上ぶりだった。若い頃は平気で、
「やめてください」
 と声をあげられたものだが、年を取って図々しくなったはずの今、私にはそれがどうしても出来なかった。
 こんな年になって恥ずかしいという思いがひとつ。それに、見回したところ、車内には女子高生や女子大生と思える若い女性が沢山いたのだ。
 そんな中で三十路の私が声をあげたとして、信じて貰えるものだろうか?
「あのおばさん、自意識過剰なんじゃないの?」
 そう思われるのではないかという危惧があった。
 何も出来ずにいる間にも、尻を蠢く手は、どんどん大胆になっていった。遠慮がちにさすっていただけの手の指が開き、尻肉を鷲づかみにするようになっていく。
 やがて手はスカートを捲りあげ、ストッキングの上から尻の割れ目をさすり、大事な部分へと伸びた。
「あうっ!」
 思わず出した小さな声は、満員電車の喧噪にかき消された。
 指は私の脚の間に忍び入り、感じやすい部分を丹念に嬲っていく。
 ストッキングとショーツ越しではあったが、その感触は私を狂わせるのに充分だった。
 夫との夫婦生活は、月に一度あるかないかだった。こんなものかなと思っていたから自分ではそれほど欲求不満だとは考えていなかったが、身体は痴漢の与える快感に、過剰なほどに反応した。
 それに……これはあとで冷静になったときに思ったことだったが、私は夫から性生活を求められないことで、自分の中のオンナの部分は、もうお役後免になったものだと、勝手に思いこんでいた。
 三〇歳を超えた時に、もう若くない、女性として若さという価値を失ってしまったのだと、ぼんやり考えていたこともあった。
 それなのにこの痴漢は、周りにいる若い女性ではなく、私をわざわざ選んで痴漢したのだ、という、妙な優越感があった。選ばれて触られたのだということも、快感を倍増させていたのだろう。
 とにかく私は、痴漢の指戯に信じられないくらい乱れてしまったのだ。
 恥ずかしいことに私は腰を突き出し、脚まで開いて痴漢の指を受け入れた。私が抵抗しないどころか協力的になっている事に気をよくしたのか、痴漢は私の背後にピッタリと密着した。荒い息づかいが、耳のすぐ横で聞こえた。
 もう片方の手が私の胸元を探り始めたときには、私はすっかり感じ入り、これ以上の快感を切ないほどに欲していた。
 次の駅で降りろという痴漢の指示に従い、私は言うとおりにした。
 痴漢はしっかり私の手を握り、駅の構内を抜け、まだ開店前だった駅ビルの地下駐車場へ下りた。
 痴漢も私も、その間一言も話さなかった。痴漢の顔を見て、私は彼が思ったより若く、普通のサラリーマンといった恰好をしていることに驚き、逆にドキドキもした。
 いかにも不真面目な人ではなく、本当に普通の人に、あんな大胆なことをされたんだという気持ちが、逆に刺激的だったのだ。

「へえ……」
 適当に入ったラブホテルの広いベッドの上で、香川は私の乳房を弄びながら遊びながら話を聞いていた。
 痴漢にされた話をしたときは、調子に乗って、
「こんな風にされたの? こう? いやらしいなぁ、思い出しただけでこんなにぐちょぐちょなのか」
 と、話の内容と同じように私の脚の間をまさぐったから、乱れてしまって、私は何度も話を中断せざる得なかった。
「で、駐車場へ行って、どうしたの? ホテルへ行ったの?」
「いいえ」
 固く凝った乳首を柔らかく弄られ、うっとりしながら、私は話を続けた。
「多目的トイレってあるでしょう、車いすとか、乳児連れなんかも利用できる広いトイレの個室。ほら、洗面台に手すりが付いてたりする……あそこへね、二人で入ったのよ」

 あんなことは初めてで、しかも思いがけないことだった。
 それまでセックスというのは、ベッドの上で全裸になってするものだと思い込んでいた私が、ストッキングとショーツを膝までおろし、スカートを腰まで捲りあげ、多目的トイレの手すりにしがみついて尻を上げ、バックから痴漢に犯されていたのだ。
 しかも、自分の意志で!
 あんな、挿入と射精だけが目的の、前戯も言葉の掛け合いもない、まるで獣の交尾のようなセックスは初めてだった。
激しい快楽だった。
 男は無言で私を貫き、突き刺し、肉を打ちつけるように強く腰を動かし続けた。
 私は必死で声を殺し、異常なまでの快感に耐え続けていた。何度昇りつめ、腰が砕け落ちそうになったか分からないほどだった。
 途中何度か、トイレの扉がノックされた。だが、私たちはやめなかったし、やめようとも思わなかった。
 むしろ、外には普通に人がいるのだという異質な状況下でひたすら肉欲に溺れていることすら、快感のスパイスになっていた。
 男は私に挿入したままで2回射精し、少し休んで更にもう1回射精した。
 快楽に耐え続けるのは、地獄のような苦しみにも似ていた。けれど身体がその苦しみを求めてやまず、私はいつまでも尻を突き出し続けていた。
 あの日私は、開花したのだ。
 狂おしいほどに身体が快感を求めて火照り、疼くようになってしまった。セックス依存症というものがあると聞いた。もしかしたら私は、あの異常な体験からそれに目覚めてしまったのかもしれなかった。
 その痴漢とは、その後も連絡を取り合い、会ってはひたすらに肉を貪りあっている。だが、せいぜい月に2,3回しか会えない。
 毎日だってセックスをしていなければおかしくなってしまう私は、だから男を求めて、出会い系サイトに登録しまくっているのだ。

「そりゃすごい」
 香川は、私の話に興味をそそられたようだった。
 いつの間にか、私を嬲っていた手は止まっていて、真剣に私の話を聞いているようだった。
 私はそっと、男の股間に手を伸ばした。少し前まではビンビンに固くなっていたが、今は少し収まっている。
「ちょっと、ひいちゃった?」
「いや、ますますマキコさんに、興味が湧いてきたよ。普通の、上品な奥さんに見える君がそんな性癖を持ってるなんて、ビックリだし、結構興奮する」
 本当? じゃあどうしてチンポが小さくなってるのかと、私は笑って聞いた。
「その痴漢にちょっと嫉妬したんだよ。君をそんなにも乱れさせた痴漢にね」
 香川はすっくと立ちあがり、いきなり服を着始めた。
「やめちゃうの? そんな……」
「いや、やめないよ。場所を変えるだけだ。君も着替えて、ついておいで。ああ、スカートだけでいい。下着やストッキングはいらないよ」
 私は呆然となりながら、着替える香川の背中を見つめた。

「ああっ!ん、んん……」
「声をあげるんじゃないっ!」
 最初はひんやりとしていた階段の手すりは、私の体温で驚くほどに熱くなっていた。汗で滑って何度も滑りそうになる。
「んくぅぅ……うう、ううう」
 ラブホテルの屋外非常階段で、私は香川に後ろから犯されていた。
 真っ昼間だ。周りはラブホテルだらけで人気はないが、それでもいつ、誰が私たちに気付くかもしれない。
「日差しの下でのセックスってのも、なかなか興奮するものだな」
 香川はそう言いながら、私の背後でピストンを繰り返す。
「ああっ!」
 香川の手が、私のブラウスの前ボタンを開けた。ずらされたブラジャーから乳房がこぼれ落ち、陽の光を浴びる。
「アアアア……」
 誰かに見られたらどうするの――。羞恥心が異常な興奮を誘い、私を狂わせた。
「すごい感じてるみたいだね、エッチな汁がものすごいよ……それに気付いてる? マキコさん、自分から俺にガンガン尻を打ちつけてきてるんだぜ?」
 気付いていた。恥ずかしいけど、もう止まらなかった。私は犬のように尻を振り、香川のペニスを身体の奥深くまで呑み込んでいた。
「あ、アアアっ!」
 鼓動が高鳴り、私は真っ昼間の非常快感で、新たな快感に目覚めた。
 来た――。
 じっとりと汗ばむ大きな手が、私のスカートの中に滑り込む。
 ストッキングは穿いていない。その手は直に、ゆっくりと私の尻をなで回す。時間をかけてたっぷりと、手の平を波立たせ、時にはむんずと強く掴む。脂肪の厚みをとろかすように、手は丹念に尻たぶを嬲る。
「ん……ふう」
 思わず漏れそうになる声を、私は必死で堪える。窮屈な満員電車の中で必死で広げた文庫本に目を落とし、夢中で読んでいるフリをする。
 一通り尻を弄ぶのに飽きると、手はスカートをたくし上げながら、ゆっくりと前へ回る。そして私のへその下から下着の中へ滑り込み、すでにぐっしょりと濡れている私の股間に指を差し入れる。
「んく……」
 男の指は的確に、私の感じる部分を撫で回す。
 満員電車の中では、誰も私には気をとめていない。文庫本の影から周囲を見るが、周りは皆、それぞれ物思いにふけっていたり、携帯をいじっていたりだ。
 私が若い美女だったら話は別なんだろうが、残念ながら私は、会社ではいい加減若いOLや社員に『うるさいおばさん』とけむたがられ、夫にも放置されている三〇代後半の兼業主婦だ。
 誰も私なんかには注目しない。いつも私を狙っていたずらをしてくるこの、痴漢以外は。
 ・・・・・・・・・・・・・・・・
 初めてこの満員電車の中で、この痴漢に触れられたときは、恐怖と緊張で声をあげることすら出来なかった。
 若い娘でもないのに、それでもいきなり尻を鷲づかみにされ、いいように嬲られる恐怖はたまったものではない。
 厄介なことに、若い頃であれば恐れ知らずに
『やめてください!』
 と叫べただろうが(実際、叫んだこともあった)、年を重ねてしまった分、私はそういう面で向こう見ずになることが出来なくなっていた。
 何かの間違いかもしれない、事情があるのかもしれない、こんなおばさんに痴漢するわけないよと笑われるかもしれない。それに、これからもずっと通勤で使う電車だ。変に目立って、周囲の人に顔を覚えられたくはない――。
 色々なことが瞬時に脳裏をかすめ、私に出来たのはじっと黙って、降りる駅が来るのを待つことだけだったのだ。
 私が大人しくしていたのを、了解と受け取ったのだろうか。痴漢は翌日も私を狙い、同じように背後から手を伸ばしてきた。
 恐ろしくて振り返ることさえ出来ず、私はただじっと耐えた。次の日も、次の日も……。
 やがて私は、その痴漢の愛撫を、楽しむようになっていた。どうせ弄られるんなら、楽しまなければ損だ。
 夫との仲がうまくいっておらず、会社で気に入って可愛がっていた若い男性社員に
『あのおばさん、俺のこと目をかけてくれるのは嬉しいんだけど、なんて言うか……迫られてるんじゃないかって思うときがあるんだよね。年を考えて欲しいよね。はっきり言って、気持ち悪い』
 と、陰口を叩かれているのを偶然知ってしまったからかもしれない。
 確かに私はその若い男の子を、多少はセクシャルな意味でも好意を持っていた。けれどもそれは、オフィスラブをしようとかそういうのではなく、ちょっとエッチな会話も楽しめたら生活の刺激になっていいのにな、とか、それくらいの気持ちだったのだ。そう。ほんの、その程度だったのに……。
 そんなことで落ち込んでイライラの溜まっていた私にとって痴漢は、私を性的に女性としてみてくれる唯一とも言える男性だった。
 ・・・・・・・・・・・・・・・・
 満員電車の中では冷房なんてあまり意味がない。時折、人の流れがあった時に冷風が顔に当たり、ああ冷房が入っているんだと思うくらい。
 その日は特に蒸し暑く、ドアの開閉があるたびに、大勢の人と共に熱風が車内に流れ込んでいた。
 車両のほぼど真ん中で必死に脚を踏ん張っている背の低い私には、窓の外が見えない。
 目の前には大柄な男性の、汗で張り付いたTシャツの背中があった。体臭がきつそうだが、すでに車内は訳の分からない匂いが充満していて、もはや気にもならない。
 そしてその日も痴漢は私の尻に手を伸ばしてきた。
「う……」
 汗ばんだ尻たぶを、大きな手が包み込む。手の平は熱く、じっとりとしている。
火照った手で尻を揉みしだかれ、私は周囲にばれないよう、そっとため息を漏らした。
 正直、お尻がこんなにも感じるなんて、痴漢に遭うまでは知らなかった。お尻なんて、脂肪の塊だから性感帯も鈍いと思っていたのだが、そうでもない。
 確かに淡いが、撫で続けられていると、とろけるような甘い快感が全身を包む。
鋭い刺激ではないが、それは確実で、繊細な快楽だ。
 思わず漏れる甘ったるいため息が、痴漢には聞こえているかもしれないと思うと、ますます興奮してしまう。
 痴漢はいつものように、私の尻たぶを直にたっぷりと嬲ると、手を前に回す。 下着の中に指が滑り込み、密林を掻き分け、秘密の割れ目をなぞる。
「ん……くぅ」
 指は凝り固まった淫豆を嬲りながら、器用にねとつく肉びらを開いて、粘膜へと到達する。
 いやらしく蠢きながら秘所を掻き乱し、私を狂わす。
「ん、んん……ふぅ」
 脚が震え、立っているのがやっとだ。前に立つ男性の汗だくの背中にそっと額をつけ、なんとか姿勢を保とうと努力した。文庫本は何度も同じページをめくっている。
 そっと目を閉じた。
 脳裏で痴漢の姿は、私が目をかけていた若い男性社員の姿に変わっていた。
 とても素直でいい子で、なかなか見所がある美青年だと思っていたのに。私を慕ってくれていると……会社の先輩以上の感情を持ってくれていると思っていたのに。
 私のことを影ではあんな風に言っていたなんて、ショックだった。
 実際に行動に起こすわけではないのだから、妄想するのは私の勝手だ。私はその若い社員に愛されている自分を思い浮かべながら、痴漢の指技に身を任せていた。気持ちいい……もう、もうすぐイキそうだ――。
 その時だった。
「ひっ!」
 思わず声をあげてしまい、慌てて周囲を確認したが、けだるい空気の漂う車内で、私に目をやる人はいないようだった。
 痴漢が片手を……私のシャツの中に滑り込ませてきたのだ。
「く……」
 湿った手がブラジャーをずらし、乳房を強く掴む。乳首を指で摘み、こね回す。
 私は背後から痴漢に抱きかかえられる形になっていた。痴漢は廻した腕の片方を乳房に、片方を脚の間に廻していた。背中に、痴漢の熱い存在を感じる。腰のあたりに、固い塊が押しつけられた。痴漢の勃起だ。
 耳朶に、荒い息づかいが響く。
 いきなりそんなことをされたら、ダメ、イキそう――。
「イキたければ、次の駅で降りるんだ」
 低い囁き声に、全身が粟立った。
「降りたら改札を出て左だ。階段を下りると大きな電気屋がある。その向かいがホテル街だ。建物全体がピンク色をしたホテルがあるから、その入り口で待っていろ」
 冷たいものが、背筋を流れた。
 私の身体からすっと手が離れ、痴漢の存在が背後から消えた。
 待って、待ってよ。私まだイッていない。寸前まで煮えたぎった身体は、もうどうしようもないくらい快感を欲していた。やがて、アナウンスが流れ、駅に着いた。
 扉が開いた。
 ・・・・・・・・・・・・・・・・
「絶対来ると思ってましたよ。奥さん……かな? いつだっておまんこひくひくさせて感じまくっていましたものね」
 部屋に入るなり痴漢男は、私をベッドに押し倒した。目が血走っている。
 男は、私が妄想していた男性社員のような若く好みのタイプではなく、おそらく私と同じくらいか年上の……痴漢なんてしそうもない大人しい感じの男だった。
 ホテルの前でその男を見たとき、私は期待と不安に胸を膨らませて来てしまったことを後悔し、きびすを返そうかと考えた。
 だが、身体の火照りは収まりそうになく、何より、ほんの少し大胆に冒険を楽しみたい気持ちにおされ、共に部屋へと足を踏み入れたのだ。
 男はかなり興奮状態にあるようだった。お互い室内の冷気で急激に冷えた汗が気持ち悪いはずだったが、男は私にシャワーを浴びろとも言わず、ベッドで乱暴に自分の服を脱ぎ捨て、私の服を脱がした。
「あ……」
 平凡そうな男の裸体を見て、私は思わず声をあげた。
 適度に均整の取れた、美しいとも思える体つきに、勃起した男根のなんて立派なこと!
「たまに奥さんみたいな綺麗な女性がひっかかってくれますからね。痴漢はやめられません」
 身体に見とれている私の視線に気付いたのか、男はそれを見せつけるように仁王立ちになると、そう言う。
 私は、綺麗、なんていう久しく聞いていない言葉を言われ、身体を緊張させた。
だらしなく膨らんだ腹筋に力を入れ、少しでもマシに見えるよう、胸も張る。
 心地よい緊張感。こんな緊張感はすっかり忘れていたのに。
「綺麗ですよ、奥さん」
「ああっ!」
 男はいきなりベッドに横たわった私の内腿を広げ、いやらしく濡れそぼった脚の間をまじまじと眺めた。
「ここが、いつもヒクヒクしていたおまんこですね?」
「いやだ、恥ずかしい」
「さわり心地は抜群でしたよ。柔らかくて湿り気があって……熟した女性のおまんこでした。いつも……いつだって味を想像していました」
「……っ! アアアッ!」
 男の舌先が秘裂を割り、淫豆を剥く。乳首を転がすように優しく包み、丁寧にしゃぶる。
「ああ、あああ」
「控えめですね。ここではもっと大きな声を出しても大丈夫ですよ? 電車の中ではないのですから」
「ああ……ひ、ひぃぃ!」
「そうです。もっと卑猥な声を聞かせてください。ずっと聞きたかったんですよ。殺したようなため息ではなく、いやらしく喘ぎまくるあなたの声が」
 男の舌先がやがて、奥のすぼみへと滑り込む。ひくつく孔を丹念に舐め、粘膜を吸いあげる。
「アア、アアアアッ!」
 突き抜けるような快感だった。私はシーツをたぐり寄せ、身をくねらせた。こんなにも丁寧で気持ちのいいクンニ、初めてだ。 
 男はじゅるじゅると淫音を立てながら私の陰部を舌で舐り、手を尻たぶへとまわし、揉みしだく。
 それだけでイッてしまいそうな激しい快感の中で私は、ひたすらに声を張りあげ続けていた。
「気持ちいい、すごく気持ちいい!」
 私の声に、男はますます激しく愛撫を重ねる。
 胎内が熱い。火の玉を挿れられたようだ。全身を貫く強い刺激の中で、私は絶頂を迎えていた。
「アア、もう、もうダメ、ダメェェ!」
 ぴくんぴくんと軽い痙攣で私のあそこが男の舌を締めつけているのが感じ取れた。全身の血が逆流したような快感だ。
「ああ。あああ……」
 クライマックスを迎えてもなお、私の火照りは収まらなかった。
「いれて、いれて……」
 淫乱な女のように、私は男の巨根に手の伸ばそうとした。だが、まるで腕に力が入らない。性感帯を除くすべての身体機能が停止してしまったかのような錯覚に陥る。
「いいですよ、奥さん。だけど、仕事じゃなかったのですか?」
「あ……仕事ね」
 そんなこと、忘れていた。若い男性社員のことが脳裏に浮かんで、消えた。
「いい。休むわ」
「そうですか。俺もです」
 男は乳房に軽く唇を寄せると、正常位の格好で、私の脚の間に腰を据えた。
「ああ……」
 熱い切っ先が肉びらをめくりあげ、ぐいぐいと肉壁を開いてゆく。
「ああ……ア、ひっっ、アア、アアアアア、あくぅぅ……アアアッッ!!」
 貫く肉棒のなんという圧迫感。これ以上ないと思う程に感じた先ほどの快楽の、更に上をゆく悦楽が私を支配する。
「ああ、あああっ!」
「いい、いい、最高だ……」
 私の上で腰を振る男の、愉悦の表情。 私が無断欠勤したことを、あの若い男性社員は、少しは心配してくれるのかしら――?
「アアアッ、すごい、すごいィィッ!」
 そっと目を閉じ、頭の中であの若い子に犯されている自分を妄想しながら、私は絶頂のただ中に達していった。  
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