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素人のエロ投稿やエロ体験談が大好きです。ジャンルごとにまとめてみました。他ブログからのお引越しですが、手動のため、ある程度まとめての更新です。。。
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 新入社員の頃は、バレンタインデーに社内のどこら辺くらいまでのつき合いの男性にどれくらいの予算でチョコを配ればいいのか、頭を悩ませたものだった。
 先輩に相談してみたら、あっさりと
「うちではこんな感じね。隣はこんな感じ。総務だけはちょっと違ってね……」
 と、教えてくれたっけ。
 社内の義理チョコなんて、貰う方も淡々としたものだ。
「ありがとう、うれしいよ」
 なんてちょっと笑って、あとは鞄や机にポイ。そしてお返しには、ハンカチか、どっかのお菓子ブランドの缶入りキャンディーかクッキーだ。
 私のような独身OLには一人くらい奮発したお返しをくれても良さそうなのに、そういう人もいなかった。
 会社に入って3回目のバレンタインデーに、私はふと、チョコにそれぞれ手書きのメッセージカードを添えてみたらどうかなと思いついた。
『この間の飲み会で歌っていたアニソン、すっごいウケました!』
『最近残業続きでお疲れでしょう。甘いものは疲れにいいそうですよ』
 そんな言葉を小さなカードに書いて、チョコレートと一緒に渡すのだ。
 この思いつきは、私をウキウキとさせた。可愛らしいカードを購入し、蛍光ペンで文字を並べた。ひとりひとりの顔を思い浮かべながら、なにを書こうと考えるのは結構楽しかった。
 バレンタインデー当日。
 他の女子社員は事務的にチョコレートの包みを出して配っていたが、私はそういうわけにはいかなかった。なんせ、ひとりひとり、別のメッセージカードを添えているのだ。誰に書いたカードを確認しなければならなかったため、個別に配らなければならなかった。
 仕事中に渡したり、廊下に出ているときに渡したり。計算外で面倒だったが、チョコレートの小さな包みと一緒に私が差し出したメッセージカードを見て、
「ありがとう」
 と笑顔を見せてくれる人が多かったのは嬉しかった。課長なんかは、
「こういう一言があると嬉しいね」
 なんて笑って、他の男性社員に、君のにはなんて書いてあった? なんて見て回ったりしていた。
 チョコと一緒に渡したカードを見ても、ありがとう、と事務的に言って、すぐに背を向けて素っ気なく立ち去ってしまう人も何人かはいたけど、おおむね、好評だったと言って良いだろう。
 おかしなことが起こったのは、数日後のことだった。出社して社内メールをチェックした私の目に、見覚えのない差出人からのメールが飛び込んできたのだ。
 差出人の名前欄は『冴子の彼』メールタイトルは『僕も冴子が大好きだよ』
「なにこれ」
 間違いかとも思ったが『冴子』と、私の名が入っている。明らかに私宛に送られたものだ。私は人目を気にしながら、恐る恐るメールを開いた。
『愛しの冴子へ。
君の気持ち、とても嬉しかったよ。僕も前から、冴子のことがちょっと気になっていたんだ。良かったら今晩逢いませんか? 思い出の場所で待っています。』
 くらくらとした。なんなんだこのメールの文面は。
 私には全く心当たりがなかった。メールアドレスを確認したが、フリーアドレスで、誰だか分からない。
 やっぱり間違いメールだったのだろうと、私はそのままパソコンで社員名簿を検索した。冴子という名の女子社員は、私しかいなかった。
 私はそのメールを削除した。その日はそれだけ。他に変わったことはなにもなかった。
 次の日だった。
 出社し、社内メールをチェックした私は思わず声をあげそうになった。
 私宛にメールが一〇〇以上届いていた。そしてその差出人欄を『冴子の彼』が埋め尽くしていたのだ。
「なによ、これ」
 並んだタイトルは、読むだけで頭が痛くなりそうなものばかりだった。
『連絡を待っています』
『どうしたのかな?』
『連絡下さい』
『なにかトラブルですか? 心配です』
『大丈夫ですか? 心配です』等々。
 社内メールを携帯に転送していなくて良かった。もし、他の社員のように転送設定を付けていたら、私は昨夜、気がおかしくなっていたかもしれない。
 メールは、最初の何通かだけ読んで、すべて削除した。この誰かは『冴子』を『思い出の場所』で待ち続けたらしい。
 その日はさんざんだった。
 一時間おきに『冴子の彼』から社内メールが届いた。中身は
『どうして無視するんですか? 恥ずかしがっているのかな』
 なんてどうしようもないことばかりだった。たちの悪いイタズラだろう。実害はないし、私は気にしないことにした。
 ところが翌日から、メールの文面に変化が表れた。
 私がトイレに立ち、戻ってくると件のメールが届いている。見ると、
『トイレ、十二分もかかっていますよ。もしかして女の子の日なのかな? だから僕に会いにこなかったのかな?』
 と書かれている。
 昼休みが終わって席に着くと、
『今日は、駅前のMでしたね。ファストフードは体に良くないですよ!』
 と言う文面のメールが届く、といった具合だ。さすがに放っておけないと判断した私は、仲の良い先輩に時間を作ってもらい、相談することにした。
 ***
 会社からかなり離れたレストランに席を取った私は、それでも一応、周囲を確認した。『冴子の彼』が社内の人間であることはほぼ間違いがなかった。しかも、同じ部署の人間だろう。レストランには先輩の他に知った顔は見あたらなかった。
 先輩は私の話を聞くと、困ったような表情を見せていた。
「あんまり言いたくないんだけど」
 先輩はパスタに刺していたフォークを置き、水に口を付けてから言った。
「バレンタインデーに冴子、チョコと一緒にカード送ったでしょう? あれ女子社員の間でちょっと問題になったのよ」
 初耳だった。
「ひとりだけ違うことをする人がいると、どうしても他の女子社員にも同じようなことを期待する人もいるでしょう? まあ、他愛もないことだけどね。そういうのに、過剰反応する人もいるから……」
 何人かの同僚の顔が頭に浮かんだ。そう言えば佳美が
『ただチョコを渡しただけの私が手抜きしてるみたいじゃない』
 なんて言っていたのを思い出した。冗談で言っていると思っていたけど。
「え? じゃあまさか誰かが私に嫌がらせしてるってことですか?」
 血の気がひいた。まさかそんなことで。
「違う違う、そうは言ってないわよ」
 先輩は慌てたように口に入れたばかりのパスタを喉の奥に押し込み、真っ青になっている私に笑いかけた。
「そうじゃないけどね。ほら、勘違いする人っているから。もしかしてあなたがあげたカードを本気の告白と受け取った人もいるかもしれないでしょう?」
「まさか! みんな、洒落だって分かってますよ。ほら、課長がみんなにどんなカード貰ったんだって聞いて回ったとき、先輩もいたでしょう」
「あのとき、全員がいたわけではないでしょ。中には、思いこみの激しい人もいるってことよ」
 その瞬間、私の背筋を冷たいものが駆け抜けた。
 まさか……。カードの一枚に『一緒に行った品川のレストラン、とってもステキでしたね。またあのレストラン行きたいなぁ』と書いたのを思い出していた。
 あれは、同僚数人で行ったのだ。ふたりきりではない。また行きたいと書いたのは、また、みんなで行きたい、と言うつもりだった。だがもしあれが、デートの誘いに受け取られていたら――。
 メールの中にあった『思い出の場所』という言葉がよみがえった。あのカードを渡したあいつは、あの時――課長がみんなにカードの内容を聞いて回ったとき、いただろうか? あいつには廊下で手渡したのではなかったか。そしてあいつは、素っ気なく立ち去っていっただけではなかったか――?
  ***
 無視し続けていた『冴子の彼』からメールがこなくなって暫くした頃だ。
 二日ほど風邪で会社を休んでいたため、その日私はひとりで残業をせざるえなかった。
 ノートパソコンに向かって延々と数字を打ち込み続けて、ふと気づくと終電近くなっていた。
 早く帰らなければ。会社に泊まり込みはゴメンだわ――。私は慌てて帰り支度を始めた。そのときだ。人の気配を、背後に感じ、私は振り向いた。
「ひっ」
 思わず声が出た。そこに立っていたのは、同僚の山崎だった。山崎はあまり社交的ではなく、社内で親しくしている人もいない、目立たない独身の男だ。仕事も熱心ではなく、最低限の給料さえもらえれば出世しなくてもいいと思っているような節がある。体が大きく、体格はいいのだが、スポーツはてんでダメだという話だった。
 そしてこの山崎は――。
「冴子、どうして僕のメールを無視していたの?」
 にやけた口元からのくぐもった声がふたりきりのオフィスに響いた。
 やっぱり『冴子の彼』はこいつだったのか。普段は私を名字にさん付けで呼ぶ山崎から呼び捨てにされ私はぞっとした。
「あなたのメールだったの。あれ、なんの冗談? 私、怖かったのよ」
 私は出来るだけ平静を装い、強い口調で言い放った。
「冗談? 誘ったのは冴子じゃないか」
 山崎は、私との距離を徐々に詰めていた。私は後ずさり、デスクにぶつかってよろけた。
「おっと」
 山崎の手が、私の肘をつかんだ。その瞬間、私は怖くなり
「離して!」
 と大声で叫び、思い切り山崎の手を振りはらった。
 私の剣幕に山崎は最初、ぽかんとしていた。なにがなんだか分からないという表情だった。だが、その表情が次第に曇り、やがて瞳に怒りが宿っていった。
「僕をからかったんですね? 畜生。僕をからかって、僕がひとりで品川に出かけたりあなたを待ったりしていたのを、どこかであざ笑っていたんだ」
「違う、そんなことはしていないわ!」
「じゃあ、どうしてあんな……」
「あのメッセージカードは、みんなに送ったのよ。あなただけじゃない。それにあれは……」
「やっぱり僕のこと、からかったんじゃないですか!」
 山崎の肩は震えていた。頬が赤く染まり、瞳の怒りの色は、ますます大きくなっていく。
「誤解させたなら、あやまるわ。だから……アアッ!」
 山崎が私の身体を強く掴んだ。私はデスクに乗り上げる格好で固定される。山崎の顔が、私の目の前に突き出された。
「いやだ。許すものか」
「いやぁ!」 
 男の力は思いの外強い。山崎は私をデスクに座らせたまま、私のストッキングを破り取り、両脚を左右に大きく開いた。
「やめて、離して!」
 必死に脚で蹴りあげようとしたが、ぐいと押さえつけられてそれも出来ない。私のスカートをたくし上げ、ショーツを注視している山崎の背中にデスクの上にあった辞書を投げつけたり叩いたりしたが、彼は微動だにしない。
「あ……あああああっっ!」
 山崎の生暖かい舌が、私の太腿を這い回った。山崎は抵抗のかなわない私をあざ笑うかのように、時折私を眺めては、太腿を舐め回す。
「やめて、やめてちょうだい!」
 やがて舌は内股から、開かされた脚の真ん中へと伸びていった。
「イやぁッ!」
 ショーツの上から秘所をねぶられ、恥ずかしさに頬を涙が伝った。私はみんなに喜んで貰おうと思って、カードを付けただけなのに。どうしてこんな目に遭わなければいけないの――?
「冴子のここ、すごくいい匂いだし、おいしいよ。ああ、僕の冴子……」
 恥ずかしさと絶望感で抵抗する気力を失った私のショーツを山崎がぐいと脇へずらした。
 山崎の顔が私の目の前に現れた。にやけた、だらしのない顔。
「好きだよ、冴子……。本当は僕のが欲しかったんだろう? 今、挿れてあげるからね……」
 山崎の厚い唇が私のルージュをぬぐい、生温かな舌が私の咥内をねちゃねちゃと這う。
「う、ううううっっ……ッッッ!」
 下半身に突き抜けるような熱い痛みを感じた。 
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「やめてよ! こんなところで……」
「おかしなこと言ってるからだ」
 敬一は私を背中から抱き、スカートの中に手を入れた。
 調理台の上に積み重ねられたアルミ鍋が動き、静まりかえった教室に金属質の音を響かせる。
「だって、本当のことでしょう? 他の人達とも、こういうことしているんでしょう?」
「いい加減にしなよ」
「エッチでごまかそうなんていやよ」
 敬一の手が下着の中に滑り込む。敬一の指が絶妙な動きで、私の秘裂をまさぐり、ねちゃねちゃと音を立てながら奥まったすぼみに沈んでゆく。
「あ……」
「声……あんまり出さない方がいいと思うよ。警備の人が来ちゃうよ?」
 耳元で囁かれ、私は震えた。
 敬一の指が私の内壁を弄ぶ。首筋に、歯が立つ。
「あ……ンフ、ふう、ンンンっっ」
 脚が震えて、立っていられない。巧みな指使いで弄くられ続ける私のあそこから、まるでお漏らしのように愛液が流れ出て内股を濡らす。
「すごい。こんなところでされて、興奮しちゃってるんだ?」
 敬一がそんな生意気なことを言う。
「うるさいわね。ごまかそうったって」
「じゃあ、やめちゃっていいの?」
 やめて欲しくない。気持ち良くて良くて。今やめられたら、おかしくなってしまう。
 敬一はテクニシャンだ。私が今まで寝たどの男より、年下の敬一は私を気持ち良くさせてくれる。
「挿れてあげようか? 欲しいんでしょう?」
 敬一が、意地悪く私の耳元で囁く。ああ、欲しい。欲しい欲しい。敬一のペニスを突っ込んでもらいたい。ぐちゃぐちゃといやらしい音をいっぱい立てながら、私をかきまわして欲しい。
「あ…ああ……」
 ここで欲しいと言えば、敬一はきっと私を満足させてくれるだろう。こんなところで? ここは、敬一がアシスタントとして働いているカルチャーセンターの一角。料理教室の、教室だ。
深夜の今は誰もいない。真っ暗なその部屋には、月明かりが差しているだけだ。
「欲しいんでしょ?」
 欲しくてたまらない。
 敬一が私の中から指を引き抜き、にやりと笑ってぺろりと舐めた。
「あ……ああ」
 月明かりに照らされた敬一は、本当に美少年だ。私を蔑むようなその瞳にもぞくぞくする。空っぽになった私のあそこが疼いてたまらない。
「欲しいなら、ちゃんと欲しいって言わなくちゃ」
 悪魔みたいな男だ。
 敬一は調理台にお尻を軽く載せ、ズボンの前を開けた。形の綺麗なペニスが覗く。すでに固く張り切っている。あれがねじ込まれたら、どんなにか気持ちがよいだろう。
「ああ……私は……」
 ここであれを挿れられたら、この話はうやむやになってしまうだろう。そしてまた、嫉妬を続ける苦しい日々が私を襲う。
 一時の快楽をとるべきなのか、それとも――。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 敬一と私が出会ったのは、書店だった。食材の本に手を伸ばした私の手と重なった敬一の手。あの時のちょっと驚いたような……恥ずかしそうに目を伏せた敬一の綺麗な顔を、私は忘れられない。
「一冊しかないですね。どうぞ。僕は別の書店で購入しますから」
 敬一は本当に綺麗な男の子だ。男の子、と言うと敬一は怒るかもしれない。彼は幼い顔立ちをしていたが、二十歳だ。私と、三つしか変わらない。 
 書店で何度か顔を合わせることが多くなり、私たちは会釈を交わす間柄になった。そこからつきあい始めるまで、本当にあっと言う間だったと思う。
 彼は、料理教室のアシスタントアルバイトをしていた。
「若い女性ばかりなんでしょう? 中には敬一にモーションかけてくる人もいるんじゃないの?」
 私の問いに、敬一は微笑み、答えた。
「だったら、菜穂子さんも僕が手伝っている料理教室に来たらどうかな。ちょうど、春のコースが始まるよ。僕、料理が上手な女性好きだし。僕の監視も出来るから一石二鳥じゃない?」
 仕事をしている敬一に興味もあった。敬一は平日夜のクラスの手伝いをしている。私は、その日のうちに申込書を手に入れ、教室に出したのだった。

 教室での敬一は、私と付き合っている素の敬一、そのままだった。少しも飾らず、優しく生徒達に接していた。
 そして私がにらんだとおり、会社帰りのOLの多いその教室で、敬一は生徒達の人気を独り占めにしていた。
 講師をしている男性も、なかなか渋い、いい男だった。落ち着いてみるとそのカルチャースクールは、講師やそのアシスタントがなかなかの美男美女揃いだ。顔で採用しているんじゃないかという噂があると聞いた。
 そんな馬鹿なと思っていたが、ドアの開閉時などに防音室から漏れ聞こえる歌謡クラスの色男だという人気男性講師の音痴っぷりを耳にすると、本当にそうかもしれないなんて、思ってしまう。
 実際、料理教室のアシスタントをしている敬一だって、料理をしたことがあるのか、あやしいものだった。
「あーん、私、出来ない~」
 なんて包丁を握ったまま甘えた声をあげる生徒の手に、そっと自分の手を添える敬一を見ていると、もやもやとした感情が胸に渦巻いた。
 敬一が生徒にとびきりの笑顔を見せたりしていると、殴られるように胸が痛んだ。
 けれども、これだけ人気のある敬一が、教室の外へ出れば私ひとりのものなんだと思うと、その感情はいつしか優越感に変わっていった。
「敬一は、私と付き合っているの」
 そう言いふらしたくてたまらなかったが、敬一に
「職場だから。一応そういうことは言わないで。内緒にしておいて欲しいんだ。色々面倒だから」
 と言われていた。敬一の言うことはもっともだ。公私の区別をつけないのはやっぱり良くない。
 そんな時だ。あの話を聞いたのは。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「なんのこと? 菜穂子さん」
「とぼけないで」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 敬一と一緒に帰ろうと、講師室を覗いたあの時。
 経営者っぽい大柄な女性が、どこかの教室のアルバイトアシスタントに、封筒を渡していた。
 そのアルバイトは確か、パソコン教室のアシスタントだ。背が高く、敬一とは対照的に、大人っぽいいい男。
『コレ、追加の報酬。始めたばかりなのにもう3人も生徒さんを連れてきてくれるなんて、やるわね』 
『たいしたことないっすよ……あの』
『なあに?』
『敬一は……今月何人ですか?』
『あら、ライバルの動向が気になるの? 彼はまだ2人よ』
『いや、あいつ、付き合って騙して生徒連れてくるようなところがありますからね、ちょっと心配で……』
『あら? あなたはちがうの?』
『え? いや俺は、普通に勧誘してますよ。……って、まさか他の人は敬一方式なんですか?』
 私はその場を動くことが出来なかった。
 噂で聞いたことはあった。でもそれは、講師やアシスタントが美男美女揃いだから、邪推から出た噂だと思いこんでいた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「敬一、他の女性ともつきあって……そうしてこの教室の生徒増やしているんでしょう? それで、追加のギャラを貰っているんでしょ? 私もそうなのね? 教室に勧誘することが目的で、私にも近づいたのね!」
 敬一の顔に動揺の表情が走ったのを、私は見逃さなかった。
「そう……そうなのね? じゃあ、あなたは他にも教室の生徒さんと……」
 やたら甘えた声を張り上げるOL、時折意味ありげに敬一を見て笑う女子大生。教室の生徒達が頭に浮かんだ。彼女たちはみんな、私と同じように――。
「ひどいわ。……みんなに、ばらしてやる……」
「なに言ってるんだよ」
「だって……ちょっとなにするのよ、こんなところで」
 敬一は私を抱きしめ、唇を押しつけた。すべすべの手が、私のブラウスの中に潜り込み、乳房をまさぐりながら、身体を私の背後に移してゆく。
「やめてよ! こんなところで……」
「おかしなこと言ってるからだ」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ん……んあぁ、んあああ」
 私の口の中で敬一のペニスがますます固く、大きくなっていく。月明かりに照らされた敬一の細い身体が、圧倒的な存在感で私に迫る。
 くやしい。
 敬一はこうやって私を抱いて……誰もいない深夜の教室で――敬一がそのルックスとセックスで連れてきた生徒だらけのこの教室で、私を抱いてごまかそうとしている。
 敬一を振り払い、逃げ出せばいい。そんなことは分かっていた。けれども私は、それが出来なかった。
 敬一が欲しかった。たまらなく欲しかった。
「ん、んあああ」
 私の唾液でまみれた敬一のペニスが愛おしい。
「菜穂子さん、これ好きなんでしょう?もうくだらないことは言わないでね」
 敬一はゆっくり、冷たいタイル張りの床に、私の背中を押し当てる。ひんやりとして、ぞくぞくする。けれども下半身は驚くほど熱くて……。
「敬一……」
「いくよ」
 敬一の手が、私の下着にかかる。私は無抵抗に、腰をすこし浮かして上げる。下着が脱げやすいように。
 けれども敬一は私の下着を脱がさず、股の部分をぐいと引っ張り、ずらしただけだった。
「誰か来るとヤバイからさ」
 そんな風に言う敬一が憎たらしくてたまらなかった。
「ア、アハッ!」
「声、もっと落として」
 敬一の唇が私の唇を多い、声を隠す。唾液を絡ませた肉の棒が、私の淫肉びらを左右に分け、奥に隠れたすぼみを貫いてゆく。
「ン、あはっン、ン、ンンンっ!」
 ズッ、ズボボボボ……。
 濡れそぼった私の下腹部は、さしたる抵抗もなく敬一のイチモツを呑み込んでゆく。奥へ、奥へ。
「んんんんっ!」
 最初は優しくゆっくりと。じれったくなるタイミングで、早く激しく。
 敬一は私の様子を的確に捉えながら、ピストンを繰り返す。
 こんな……グロテスクな肉塊を出し入れされるだけなのに、どうして私はこんなにも感じ、満たされてしまうのだろう。
 じゅぷじゅぷと粘着質な音と、私や敬一の息づかい、それに肉のぶつかるはじけるような音が静かな教室に響く。
 強い刺激と快感で、身体がかっかと熱い。じっとりとにじんだ汗で身体が床を滑る。
 気持ち良くて、頭が真っ白になっていく。敬一のこれを貰えるんだったら、もう何もいらない――そんな心持ちになってゆく。
「菜穂子さん、イイ。気持ちいいよ。菜穂子さんは最高だ。菜穂子さんだけ、菜穂子さんだけだよ……」
 敬一の言葉が耳朶に響く。
 こうやって抱かれながらそんな言葉を聞いていると、なんだかもう、いろいろなことがどうでも良くなってしまう。ごまかされていることも、なにもかも。
 快感が高まってゆく。全身に散らばっていた快楽がだんだんと一点に集中し、爆発してしまいそうだ。
「ああ、イイ、イッちゃうよ。菜穂子さん、僕、イッちゃう」
「あ、私も、もう、もう……アアアッ」
 とくんとくんと、私の中で敬一がはじける。最高の瞬間。
 内壁をくすぐる甘い刺激に酔いしれながら、私の身体もクライマックスを迎えた。
「もう、くだらないこと言うなよ」
 私を抱きしめ、優しくキスを繰り返す敬一の甘い体臭に絡まれながら、私は何度も頷いていた。いやだ、頬が濡れている。汗かしら、それとも……。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 私はそれから、料理教室に行くのをやめた。若い女性に囲まれた敬一を見たくない。でも月謝だけは払っている。最初に通うと決めた3ヶ月間だけは、払い続けるつもりだ。
 やめたわけではない。行っていないだけだから。
 敬一とももうしばらく会っていない。でもたぶん、コースがいったん終わる3ヶ月後、私のところへ来るだろう。そして甘い言葉とセックスで、私にコースの継続を迫るだろう。
 先日、街を歩いていたら素敵な男性に声をかけられた。ふらふらと喫茶店に着いていったら、その人は太極拳の教室でアルバイトをしているんだと言っていた。
 敬一の綺麗な顔が、その人の精悍な顔にかぶった。
   
 主人は息子に野球をやらせたかったらしい。けれども、私たちの住んでいる地区に適当な少年野球のチームはひとつしかなかった。
 しかもそこは、なんだか親がいろいろやらなくてはならないし、レギュラーになるために寄付とか、監督に贈り物とか、私には信じられない噂も聞いていた。
 そんなわけで、息子にはサッカーをやらせている。サッカーのチームで一番手頃なところは元々がスポーツクラブのやっているサッカー教室なので、月謝はかかるが、親の出番は特になく、コーチや監督との関係もドライで気が楽だ。
 息子と仲のよい友達も入っていて、息子もやりたいな、なんて言っていたから、これ幸いと放り込んだ。
 息子はそれなりに楽しそうにやっている。練習はきついようだが、試合は楽しいらしい。サッカー選手になる、なんてことまで言ってるけど、運動音痴な私の息子だ。全く期待していない。
 夫の方は未だに『野球をやらせたかったのに』『日曜日はキャッチボールに付き合うつもりだったのに、サッカークラブのせいでそれができない』なんてグダグダ言っている。
 子どもの頃のサッカークラブなんて、要するに体力作りと楽しみの場なのだから、野球なんか中学に入ってからの部活でだって、本人にやる気さえあれば十分だと思うのだが、夫に言わせると「それじゃあ遅い」ということのようだ。
 そんなわけで夫は、息子のサッカーに興味がない。サッカークラブを選んだ私への当てつけのように、息子のサッカークラブの試合の日は、別の用事を作って出かけたりしている。大人げないことこの上ない!
 休日の今日も、小学校の校庭を借りたサッカークラブ同士の練習試合があり、私は応援に来ているが、夫は勿論いない。子どもの事だから、練習試合でも、割と皆、気合いを入れて応援している。周りは夫婦で応援に来ている保護者なのに、私は一人。なんとなく寂しい。
 息子も、自分の父親がワザと試合に来ていないことにはいい加減気づいているらしく、試合の前日など、一生懸命サッカーの話を夫にしたりしているのだが、夫は無反応だ。
 息子は、練習試合でも真剣な表情をして駆け回っている。汗だくになって、頑張っている。こんな息子の様子を見れば夫だって変わってくれるかもしれないと思う……。
 でも、息子には申し訳ないが、夫が来なくてもいいやと、むしろ来ないで欲しいと思う理由が、私にはあった。

 試合の途中、私はそっと、校内に忍び込む。試合は佳境に入っている。息子はさっき、メンバー交代で今はベンチだ。
 サッカーチームの選手や保護者に使用許可が出ている校舎一階のトイレに入るフリをし、人がいないのを見計らって、私は階段を上まで一気に駆けあがる。
 屋上入り口の前で、彼は待っていてくれた。
「お待たせしましたか?」
 階段を駆けあがったため、乱れた呼吸を整えながら、私は聞いた。
「いいえ。大丈夫ですよ」
 彼は、いまだにハァハァと息を荒くしている私を、そっと抱きしめてくれた。

 彼と関係を持つようになったのは、半年くらい前からだろうか。
 サッカークラブの試合のたび、夫婦揃って応援に来ている保護者の中で、母親一人で来ている私は、肩身の狭い思いをしていた。
 勿論、周りの父母はそんなこと気にはしていなかったろう。けれども私はどうしてもそれが気になってしまっていたのだ。自然と目は、私以外で片親だけで応援に来ている保護者を捜してしまっていた。彼は、そんな保護者の一人だった。
「妻はミーハーなところがありましてね、息子にフィギュアスケートをやらせたかったようなのですよ。資料を取り寄せていましたが息子は全く興味ないし、親のエゴで子どもにやりたくないことを押しつけるのは良くないと私が反対しましてね、息子が入りたがっていたサッカークラブに入れたんですよ。ところが、それが面白くなかったらしく、すっかり妻はヘソを曲げてしまいました」
 偶然話す機会があり聞いたところ、そんなことを言っていた。私の夫も実は野球をやらせたがっていて――なんて私も話し、一緒に連れ合いの愚痴をこぼし合ったのだった。
 彼とは年も近く、偶然出身地も同じだったこともあり話も合った。それに彼は、私の好みのタイプだった。彼の方もそれは同じだったようで、私たちはすぐに親しくなったのだ。
 けれども、夫婦ばかりの中、夫婦でもなんでもないサッカークラブメンバーの母親と父親があまり親しくしているのは、なんとなく体裁がよろしくない。しかも彼の息子とうちの息子は学年も離れており、仲がよいわけではなかったからなおさらだ。
 そんなわけで私たちは、会ってもちょっと話してすっと離れたり、互いに目配せし合ったりという気遣った関係が続いていた。そんな関係が次第に秘密を共有し合うような感じで心を近づけていったのかもしれない。
 サッカークラブの保護者交流会のあと、彼と肉体関係を持ったのは、ごく自然の流れだった。
 
 私がスカートを穿いてる日はOK。そんな合図になっていた。私たちは頃合いを見計らい、校舎の屋上や更衣室の裏手――市民運動場などでサッカーの練習や試合があるときはそれこそ適当に、その時によって好きな場所で短い逢い引きをする。
 今日は、屋上。
 彼には特技があり、奇妙に曲げた針金で簡単な錠前は外してしまう。最新式の鍵なんかは無理なようだが、ここら辺の校舎は古いタイプの鍵だから、容易に開けられるようだ。
 誰もいない屋上の踊り場。彼は既に屋上へ入る単純な鍵を開けていた。
 こんなに簡単に開く鍵でいいのだろうか? 少し心配になるほどだ。
 屋上へ出ると、青い空に、校庭から聞こえる子ども達の歓声や応援する保護者の声が広がる。
 私たちは屋上入り口近くの、金網に仕切られている貯水タンクの裏に入り込んだ。ここなら周囲から見られる心配もないし、万が一誰かが屋上に上がってきても、息を殺して隠れることができる。
「1ヶ月ぶりだね」
「寂しかったわ」
「本当に?」
「本当よ。あなたの家に電話しちゃおうかと思ったくらい!」
「家になのか? 携帯にかけてくれればいいじゃないか」
「なんとなくよ」
 私たちはまるで恋人同士のような会話を、向かい合って立ったまま、抱擁しながら繰り返す。
 暑い日だから、彼の身体は汗でじっとりとしている。薄手のTシャツがすっかり湿っているようだ。薄いコロンの香りに彼の体臭が混じり合い、私の官能を刺激する。
 私の身体も、同じようないやらしい匂いを出しているのだろうか? 
「んん……」
 熱い口づけ。夫とはもう、とうにすることのなくなったねっとりとしたディープキスだ。この年になって、キスがこんなにも感じるなんて思わなかった。キスなんて、セックスの前戯だと思っていたから。でも、彼とのキスは、それだけで本番さながらに感じてしまう。粘膜を舐めあい、絡めあい、刺激し合う行為――まさに口唇で行うセックスだ。
 私たちは飽きるまでお互いの舌を吸いあい、時には唇全体を包み込むようにして絡みあう。
 まとわりつく熱い吐息を感じ、陶酔する。ちゅぱちゅぱじゅぽじゅぽといやらしい音が青い空に吸い込まれていく。
「んん、あああ……」
 光る唾液を糸引きながら、私たちは名残惜しく軽いキスを繰り返す。そうしながらお互いの服の中に手を差し込み、肌を求め合う。
「ああ……」
 彼の汗ばんだ大きな手の平が、Tシャツの下から滑り込み、私のブラジャーをたくし上げて、乳房に触れる。
「アア……」
 手の平が、いつのまにか固く凝った乳首を転がす。汗で適度に湿った手の平の皺にひっかかりながら、感じやすい乳首がゆっくりと刺激される。
 時折、手の平は乳房全体を包み、やさしく柔らかく揉みしだく。心臓まで掴まれるよう――。
 その感覚が心地よくて、思わず声をあげそうになる。
「声は、ガマンだ」
 分かっている。だから私は必死で堪える。声のかわりに甘いため息が漏れる。声をガマンしていると、快感がどんどん内に篭もってくるような気がする。
 気持ち良さに、私は思わず腰を落とす。
「相変わらず、感じやすいね」
「……いじわるね」
 お返しに、私も彼のシャツに手を入れ、小さな乳首を強く摘む。
 彼は少し顔をゆがめ、私を切ない目で見る。彼も、その部分が感じるのだ。
 私たちは服をたくし上げて、青い空の下で、お互いの肌を直接こすりつけ合う。
 彼の体温と高鳴る鼓動を感じる。
 校庭から、一層大きな歓声が上がった。子ども達が頑張っているのに、親である私たちがこんな風にしていることに、少し罪悪感を覚える。
 それは彼も同じだろう。すっと身体を離したかと思うと、もう一度私を抱き直した。
「試合、終わる前に戻らないと」
「ゆっくりもできないですね」
「どこかで落ち着いて君と抱き合えたらいのに」
「本当に……でも、難しいわ」
 彼が私の腰にすっと手を伸ばした。

 給水タンクはコンクリートの上に立っている。容赦なく照りつける夏の日差しはコンクリートを熱していたが、日陰部分は比較的涼しく、耐えられないほどではない。
 私はその日陰部分に仰向けに寝ころび、彼の体重を支えた。
 服は着たまま、スカートをたくしあげ、下着は、折って立てた片方の膝にぶら下げる。
 彼はズボンと下着を適当におろして、既に勃起しているペニスを取り出すと、私の上に覆い被さる。
「ああ……」
 彼のペニスに触れる。それは彼の体温よりも一段と高く、熱い。真夏の太陽のようだ。
 強く握ると一層熱く燃える。このままいつまでも握りしめ、できたら舌を這わせてその熱さ固さを実感したい――。
 けれども、お互いに結婚している私たちには短い逢瀬しか許されていない。名残惜しく思いながら握りしめたペニスを、濡れて涎を垂れ流す私の脚の間へと誘う。
「ん、んんん……アアッ!」
 彼の男らしい勃起が私の淫乱な膜を拡げ、切っ先から滑り込んでくる瞬間は、いつだって声が漏れてしまう。
 逢瀬自体は何度も重ねているはずなのに、この瞬間だけ、処女に戻ってしまうかのように緊張する。彼と繋がるのが狂おしいほどに心地よい。セックスなんて、もう飽きるほどやってるはずなのに……実際、夫とのセックスなんて飽きていて、オナニーのほうが楽で気持ちいい、とまで思っていたはずなのに。
「アアア……っ!」
 彼は私の中に入りながら、唇で、声を漏らす私の口を覆う。
 彼の舌と彼のペニスが、同時に私の粘膜を犯す。一瞬、周りの音がなにも聞こえなくなる。
 気持ちいい……。
 唇を離した彼が抽送を繰り返すたび、私の秘壁はピクピクと痙攣し、滾る肉棒に絡みつく。
 同じように、声をガマンしているのだろうか、彼の顔に苦痛にも似た表情があらわれる。ハアハアと息は荒く、流れる汗が顎から私の頬へと落ちる。
「ん、んんん……」
「ンアア、ハァハァハァ……」
 大きな歓声と共に、試合終了を告げる笛の音が響いた。
 彼の腰の動きが早く、激しくなった。ガマンできず、私も自分から腰を動かして彼の身体に打ちつける。
 肉のぶつかり合う淫らな打音が、開放的な屋上の空気に吸い込まれていく。
「んん、ああ、ああ」
「く……」
「もう、もうイッちゃう」
「声、大きいぞ」
 思い切り小さな声で話したつもりなのに。快感で耳がおかしくなっているのかもしれない。
「あああっ……ン、ンンン! ああ、お、思い切り声あげてあなたとしたいよぉ」
「俺もだよ、君のいやらしい声、いっぱいいっぱい聞きながらいつまでもこうやっていたいよ」
 再び彼の唇で口を塞がれながら、私は四肢を震わせ昇りつめる。
 強く抱きしめた彼の背中は、じっとりと汗ばんでいた。

「お母さん、どこ行ってたの? ちゃんと見てた?」
「ゴメン、ちょっとね、トイレ行ってたのよ」
 少しだけむくれている息子に微笑みかけながら、ちらりと視線を彼に流す。
 彼もこうやって子どもに何か言われているのかな。そして私と同じように、子どもに罪悪感を感じているのかな――。
  
「ねえ、ここらへんにさ、あそこ以外の鍾乳洞ないの?」
 和雄が近くを通りかかった小学生に声をかけた。
「あそこって、あそこ以外?」
 小学生が不思議そうに、私たちと、目の前にある観光鍾乳洞の入り口看板とを見比べる。
有名な観光鍾乳洞だ。中は綺麗にライトアップされており、通路も手すりもある。たった今行ってきたばかりだ。
「うん。ここはね、さっき行ったんだ。けれどなんていうか……もろ、観光名所だろ」
「うん。遠足で行った」
「もっと小さくてもいいからさ、土産物屋も手すりもない鍾乳洞行ってみたいんだよ」
「そうかぁ」
 小学生は、最初私たちふたりを警戒している様子だった。それはそうだろう。
 大学生の私たちは、明らかに観光客ですといった出で立ちをしていたし、今時の小学生は皆『知らない人に声をかけられてもついていってはいけません』くらいの事は言われているだろう。
 だが、人の良さそうな和雄の笑顔に安心したのか、小学生はニコニコしながら、自分の知っているという小さな鍾乳洞へ案内してくれた。
 すこし遠かったが、歩けない距離ではない。
「あそこの鍾乳洞、中が迷路みたいになっててね、観光で行けるのはそのうちの一番大きいとこだけなんだ。手すりとかあったでしょ」
 小学生は得意げに説明してくれた。
「ホントはね、あちこちに道や出口があるけど、行けないようにロープが張ってあるんだよ」
「うん。僕らもさっき、立ち入り禁止のロープを見たよ」
「繋がってるとこ、いくつか知ってる。でもね、本当は入っちゃいけないんだ。学校でね、ダメだって言われてるの」
「でも、入ったことあるんだ?」
「だって、みんなも入って遊んだりしてるよ」
 小学生は少し不安そうな顔で、和雄を見た。和雄は安心させるかのように
「大丈夫、先生には内緒だよ」
 と笑った。

 小学生が案内してくれた鍾乳洞というのは、林の中の小山に開いた、単なる穴に見えた。小学生だといいのだろうが、大人だと腰をかがめてくぐらなければ、中に入れそうもないほど小さな穴だ。
 確か、クマとかそういう動物の巣がこんな感じではなかったか?
「ここ、本当に洞窟なの?」
「入れば分かるよ。中は広いよ。本当だよ!」
 小学生に礼を言って別れた私たちは、とりあえず懐中電灯を持ち、とにかく入ってみることにした。
「俺が先に行くよ。しかし小さい穴だな。入れるかな?」
「ねえ、私スカートなんだけど」
「どうせふたりなんだから構わないよ」
「虫とかいっぱい出そう……」
「虫くらい平気だろ。大丈夫だよ」
 大きな洞窟に繋がっている小さな洞穴、というシチュエーションに子供心が刺激されたらしい和雄は、行く気満々だったが、私は躊躇していた。
 どう考えても、服が汚れる。ずっと狭い穴が続くのかと考えたら目眩がした。
 だいたい、私は普通の観光鍾乳洞で十分満足していたのだ。それなのに和雄ったら……。
「おーい、中は広いぞ! 早く来い!」
 穴の奥から、和雄の呼ぶ声がした。
 和雄に新しい服、買わせてやる――! 私は思いきって地べたに手を付け、膝をついた。真っ黒な穴の向こう側に、和雄の懐中電灯の明かりが動く。
 肩にかけた鞄がひっかかって、上手く進めない。土が顔にかかる。気持ちが悪い。なにがが背中を這っているような気がする。
「早く来いよー」
 和雄の声が、こだまして聞こえた。本当に中は広いようだ。けれど、この狭い通路がなかなか通り抜けられない。
「もういやだ!」
 吐き捨てながら真っ暗の中を、とにかく明かりを目指してしばらく進む。
 空気の張りつめたような冷気とともにだんだんと道は広くなり、少し楽に動けるようになる。やがて立って歩けるほどに広がる。
「うそ……」
「ようこそ、お嬢さん」
 和雄の懐中電灯に照らされた8畳ほどの空間が、目の前に広がった。
 懐中電灯で四方を照らす。確かにそこは鍾乳洞っぽい。
 足下に気をつけながら奥まで行ってみる。道が再び狭くなっている、その先から空気が流れてくる。ずっと行くと、あの大きな鍾乳洞に繋がるのかもしれない。
「おい、気をつけろよ」
 穴に気を取られ、足下のおぼつかなかった私の肩を、和雄が抱いた。
「すごいな……。寒くないか?」
 確かに、かなり涼しい。
 和雄が懐中電灯を下に置き、自分の着ていた薄手の上着を脱ぐと、私の肩にかけてくれた。
「ありがとう」
 観光鍾乳洞では、そんなコトしてくれなかったのに。変な感じだ。
「しかしここいいな。ちょっとワクワクする」
 和雄はそんなことを言って、うろうろと歩き回っていた。真っ暗な中、懐中電灯の灯りが揺れる。
「おい、こっち来てみろよ」
 呼ばれていくと、和雄は壁を明かりで照らした。
「落書きね」
「ああ。さっきの小学生の仲間達だろう。、こんなところに落書きしてるよ。なにで書いたんだろう?」
「塗料?」
「うん、なに使ったのかな。擦っても落ちない」
 真っ暗で涼しい、静かな空間。わずかな明かりにふたりで顔を寄せ合っていると、なんだか新鮮な気分だった。
「我が儘に付き合ってくれてありがとうな。服も髪も、汚れちゃったな」
「ううん、いいよ」
 和雄の手が、私の髪を撫でる。
「あ……」
 なんだかゾクゾクした。和雄の唇が私の頬をかすめ、耳朶をくすぐった。
 世界中に、和雄と私のふたりきり……そんな錯覚に震える。
 和雄の方も、同じ感覚だったのだろう。かなり大胆に私の耳を噛み、手を服の中に入れてきた。
「ああ……」
 乳首を指で摘まれ、私はため息をこぼした。
「声だして大丈夫だよ。外には聞こえやしない」
 和雄が意地悪く言い、更に強く、乳首をこりこりと指でこね回す。
「ああ、ああ……」
 立っているのが辛いほどに感じてしまう。ひんやりとした空気の中、密着した和雄の身体がいつもより熱く感じられた。
「脱いじゃえよ」
「寒いわ」
「すぐ温かくしてやるさ」
「誰か来たら……」
「来ないよ」
 和雄が、懐中電灯を消した。真っ暗な中で、和雄の体温だけが感じられた。

 ひんやりとした洞窟内で、私は全裸で立っていた。
 寒さはあまり感じなかった。何より、真っ暗な洞窟内でこんな格好になっているということに言いようもない興奮を覚えていた。
「よく見せて」
 和雄が、私の身体を懐中電灯で照らす。 白い光が私の身体を舐める。足下からゆっくり上へあがり、股間で少し止まる。それから再び動きはじめ、胸元で止まる。
 暗闇に照らし出される私の裸体はどんななのだろう? 少しは綺麗に見えるのかしら。
 妙になまめかしい気分で、身体が熱く火照っていく。
 闇に、和雄の息づかいが響く。がさごそという音がする。和雄も脱いでいるのだろう。懐中電灯の明かりが揺れる。
 和雄がなにをやっているのかがよく見えないのは、不安だ。暗い中、ひとりだけ取り残されたような気がする。身体になにもまとっていないという状態も私を心細くさせる。
 やがて、明かりが消えた。
「和雄……」
 声をかけるが返事はない。あたりは真っ暗だ。そっとしゃがみ、手で下に置いたはずの懐中電灯を探る。
「和雄?」
 不安でたまらない。和雄の気配を探すが、よく分からない風の音や、水の音だけが耳に入る。懐中電灯を探し当て、明かりをつけて和雄の姿を探す。
「和雄!」
 その時だ。背後からいきなり私は抱きしめられた。
「きゃぁっ!」
「ちょっとスリルがあったろう?」
 和雄だ。和雄の体温が、地肌を通して冷えていた私の身体を包む。
「ああ、和雄……」
「真っ暗って怖いよな。俺もちょっと怖かった」
 和雄はそう言いながら、私の首筋に唇を寄せる。
「ああ……」
 私は身体を返し、和雄の唇にむしゃぶりついた。懐中電灯が下に落ち、消えた。再び闇があたりを支配し、恐怖はやがて新鮮な官能に変わっていく。
「和雄、和雄」
 和雄も夢中で私の口唇を嬲り、苦しいほどに強く激しく熱い手の平を私の体躯に這わす。
「ああ……」
 密着した和雄の下半身が、今までなかったほどに固く熱く感じられた。和雄のって、こんなに立派だったっけ?
「今度は、私に、コレ、見せて?」
 しゃがんで懐中電灯を拾い上げると、2度3度振ってみた。明かりが切れたのは落ちた衝撃によるものだったらしく、すぐに明かりがついた。
 私は明かりを、和雄の股間に向ける。グロテスクなほどに猛々しいそれが闇に浮かび上がる。指でそっと触れると、それはドクンドクンと脈打った。
 口を開け、それを包み込む。
「うう……」
 洞窟に、じゅるじゅるとペニスを啜りあげる音が響いた。
「ダメだよ、出ちゃうよ……」
 和雄の、苦しげな声がした。熱い肉塊は私の口中で苦しいほどに脈打ち、やがて切っ先から苦いものがにじんだ。
「やらさせろよ」
 どちらかというと穏やかな和雄の口から、そんな乱暴な言葉が漏れた。新鮮な響きに身体が熱くなる。
「やらせろ」
 和雄の手が、肩に掛かり、私は引き上げられた。
 体の向きが変えられ、背後から私は腰を和雄に支えられた。
「行くぞ、挿入るぞ」
 立ったまま、私の尻肉が左右に割られた。そして熱い塊が濡れきった私の秘肉を滑り、膣内へとねじ込まれていく。
「アアアッ!」
 立っているのが辛いほどの強い刺激が私の中を駆け抜けた。私は腕をまわし、背後の和雄に廻した。
 和雄は私を抱きかかえ、支える形で、私を貫き続けた。
 いつもとは全然違った。
 いつもだったら私の反応を見ながら、浅く入れたり深く入れたり……調整しながら私を高みに上げていくようなテクニックを使う挿入をする和雄だったが、闇の中で野性的な面が強く出たのだろうか。
 和雄はまるで獣のように、荒々しくひたすらに、むやみやたらといった風に私を突きあげ続けた。
「ああ、ああ、アアァァァ」
 テクニックはおろか、愛すらも感じられないセックスだった。欲望のままにむさぶる様な……けれども少なくとも私にとっては、それが心地よくてたまらなかった。
 私たちはふたりとも、文明の明かりが届かない暗闇の中で、野生にもどったのかもしれない。 
 腰の砕けに耐えきれず、私は地べたに手と膝を付いた。なんだかびちゃびちゃとしたものを感じたが、不思議に、汚いとも、汚れるとも感じなかった。
 四つんばいの格好になった私を、和雄はバックから犯し続けた。
 私は何度も何度も昇りつめ、和雄も好きにほとぼりを私の尻に散らした。
 私たちはどれくらいの間、そうやって本能だけで粘膜を擦り合わせていたのだろう。
 やがて私たちはぐったりと地べたに尻をつけて、身体を寄せ合った。

 洞窟でのアレは、私たちのその後にほんのちょっぴり変化を与えた。
 あの暗闇でのスリル、本能のままに貪り合う快感――。あれを求め、私たちは週末になると外へ出かける。
 誰もいない、小さな洞穴を……野生に戻れる私たちだけの秘密の場所を探して、車で出かける。
 河原や林道、山中にも入り、好きなところでセックスを重ねた。
「絶対もう、他の女とつきあえないよ。お前くらいだよ、こんな事につきあってくれる女は」
「こっちだって同じよ。綺麗な部屋の中でのセックスなんて、もう出来ないわ」
 明かりのない山中で全裸になり、虫に刺されながらもお互いを貪りあいながら私たちは、そんなことを語り合うのだ。 
「すみません、ちょっといいですか?」
 声をかけられたが、私は振り返りさえしなかった。友人の美樹子は私の腕を、汗ばんだ手で強く掴んだ。
 初夏の海辺は、ナンパのメッカだ。今日は女ふたりきりでのんびり海水浴を楽しもうと思ってやってきたのだから、無視するに限る。それに美樹子は、ナンパとかそういうのに慣れていない。
「ケーブルテレビの取材なのですが」
 続けてそう言われ、え? と小さく声を出して、まず美樹子が振り返った。続いて私も振り返る。
 後ろには、下半身水着、上半身にはラフなシャツを着た、三人の男が立っていた。どの男も、二〇代後半から三〇代といったところだろうか。カメラを抱えている男以外はサングラスをかけていて、顔はよく分からない。私たちに声をかけてきた男は、小さなマイクを持っていた。
「お時間とらせてスミマセン。近くのケーブルテレビの製作スタッフなのですが、海水浴場の取材をしているんですよ。それで、良かったらインタビューお願いできませんか?」
 美樹子と私は顔を見合わせた。
「靖恵がいいなら、私はいいよ」
 美樹子は私に丸投げだ。美樹子はいつだってそう。人任せだ。
 大人しいタイプで、非社交的で地味な子だ。人によっては彼女を『暗い子』といって敬遠する。私は自分では明るく社交的な方でタイプは違うが、すごく気が合う。
 私は少し考えたが、美樹子が興味ありげだったので、インタビューを了承した。
「ありがとうございます。では」
 カメラマンがカメラを向ける。同時に、周囲の目が私たちに集まる。
「お二人はご友人同士ですか?」
「はい」
「こちらへはおふたりだけで?」
「そうです」
「どちらからいらっしゃいましたか? 車で? 電車で?」
「えーと……」
 美樹子が周囲を気にし始めた。砂浜の真ん中だ。大人達はちらちらと見るだけだが、好奇心丸出しの子どもは立ち止まってじっと見ている。
「ここだとちょっと……アレですね」 
 マイクを持った男の指示で、カメラがしまわれる。
「場所を変えましょうか」
 今更、断れない。私と美樹子は男たちについて人気のない岩場へと足を運んだ。
 ・・・・・・・・・・・・・・・・
「だって、君たち特に可愛かったし、ビキニのセンスもいいじゃない」
「そんなことないですよぉ」
「いやいや。なんだかんだいってもさ、テレビだとビジュアル優先になるんだよ。君たちだったら絶対だと思った」
 男達はなかなか口が上手い。カメラの男は無言だったが、マイクを持った男と、脇で……アシスタントなのだろうか、帽子を深めにかぶり、ノートを手にした男の二人がかりでおだてられ、私も美樹子もかなりテンションがあがっていた。
 特に、美樹子の浮かれぶりは異常なほどだった。5年ほど友人として美樹子と付き合っているが、彼女がこれほど頬を上気させ、楽しそうに異性と話しているのを私は見たことがなかった。
「で、君たちスリーサイズは?」
「えー、そんなことまでぇ」
「いいじゃない。えと、じゃあ美樹子ちゃんから教えてよ」
「いやだー、恥ずかしいし、最近計ってないから、だいたいでいいですかぁ?」
 美樹子はかなり上機嫌だ。身体をくねらせ、目を輝かせてカメラの前でポーズまでとっている。その様子を見ているうちに、私の方は少し熱がひいてきた。
「ちょっと、美樹子!」
 カメラは、美樹子や私の身体を、足下から舐めるように撮影していた。
 ケーブルカメラの取材といっていたけど――。煽てられて少々浮ついた気持ちになっていたが、よく考えると少しおかしい。
「美樹子ちゃんDカップか! いや、大きいなとは思ってたけど。じゃあ、彼氏は幸せだね!」
「彼氏なんていませんよー」
「うそー。今二十三歳だっけ? じゃあ経験人数は?」
「えー」
 カメラは美樹子の胸元を舐めている。これはちょっといくらなんでも――変だ。私はかなり冷静さを取り戻していた。
「ちょっと、ねえ、美樹子!」
「あ、ごめんね、靖恵ちゃんにも聞こうかな。靖恵ちゃんは、OLさんだったよね。彼氏いるの?」
「いえ、そうではなくて……」
 私は美樹子の腕をぐいと掴んだ。
「ケーブルテレビの取材というお話しでしたよね?」
「はい」
「スタッフ証かなにかお持ちでしたら、見せてください」
「いいですよ。おい」
 マイクを持った男に指示を受け、帽子を深めにかぶった男が私についてくるようにと言った。
 かなり高揚している美樹子をひとり残すのは少々不安だったが、彼女だって子どもではない。いくらなんでも、そうそうおかしなことにはならないだろうと、私は男についていった。
 岩場から五分ほど離れたところにとめてあったライトバンが、彼らの車のようだ。このあたりは人もおらず、駐車している車も他にはない。
 男達の車は見たところ、なんの変哲もない白のライトバンだ。テレビ局のマークもなにもない。男は後部座席を開けてなにかをとりだした。
「これ、撮ってるの」
 男がにやりと笑って差しだしてきたそれは……
「ちょっと、これ!」
 私は唖然としてそれを見つめた。素人娘なんたらかんたら――と題されたDVD……。モザイクのかかった顔で、丸出しにした乳房を鷲づかみにしているパッケージのそれはどう見ても、成人指定のエロDVDだ。
「ケーブルテレビって……」
「まあ、似たようなモンでしょ。エロい有料チャンネルの撮影」
「……美樹子!」
 走り出そうとした私の腕を、男が強く掴んだ。
「美樹子ちゃん、今頃喜んでエッチな格好してると思うよ? ちょっとオッパイみせてよ、イヤン恥ずかしいわ、友達は今いないからさ、早く! えー、じゃあちょっとだけぇ、なーんてね」
「なにを……」
「俺たち、ずっとこの業界にいるんだぜ? ああいう、結構カワイ目だけど引っ込み思案ぽくておとなしめタイプの女の子の方が、いざ持ち上げられまくると有頂天になって大胆になっちゃうんだって、経験で分かってるのよ」
 頬を紅潮させて、エッチな質問にはしゃいでいた美樹子の姿が脳裏に浮かんだ。
 男は口元をだらしなくにやけさせたまま続ける。
「そして、君みたいなタイプはさ」
「私が、何よ」
「はしゃいで満足してる友人を、とめることができない。それどころか、変な競争心を燃やしちゃうんだよね。君、心の底では地味な友人のことバカにしてるでしょ? 自分の方が女として上だって、いっつも思ってるでしょ」
 男はけらけら笑って、私の腕を掴んでいた手を、そっとゆるめた。
 私は男を睨みつけ、急いで美樹子の元へ向かった。
 ・・・・・・・・・・・・・・・・
「えー、いやだ、恥ずかしい」
「ちょっとだけだからさ! ほら、顔にはモザイク入れるから。テレビ観てる人に、サービスサービス。ね、手をどけてDカップのオッパイ見せてよ?」
「じゃあ……ちょっとだけ」
「視聴率アップ間違いナシだよ! 乳首ピンク色ですごい綺麗ね。ちょっとだけつついてみてもいい?」
「えー、それはちょっと……」
「つついちゃえ!」
「あ、ああん!」
「おお、その声めちゃくちゃ可愛い!」
 息を切らせて走ってきた私の目の前に、信じられない光景が――いや、予想通りといった方がいいのだろうか。
 岩場に腰を下ろした美樹子のビキニははずされ、乳房が剥き出しになっていた。 男はマイクをほっぽり出して乳房を揉みしだき、美樹子は笑顔であえいでいる。
「感じやすいんだねー。もっとモミモミしてみようかな?」
「あ、あんん!」
「乳首ピンピンだぁ。舌でちょっとつついちゃお!」
「ああん! イヤン、ねえ、こんなの放送するんですかぁ?」
「美樹子ちゃん可愛すぎだからさー。深夜に良く、エッチな番組やってるでしょ? あっちに廻すよ~」
「えー」
「こんな可愛いオッパイ、見せないのもったいないよ、いいでしょ?」
「うーん……ちょっとだけですよ?」
「やった! じゃあさ、下もチョットだけ……お尻だけ見せてよ?」
 私はその光景を、岩の影から唖然として眺めていた。
 美樹子は男に煽られるままにビキニの下を脱ぎ捨て、手をどかす。男は流れるような口調で美樹子の脚を広げさせ、そこに手を添える。
 カメラが美樹子の身体を隅々まで追う。
「友達帰って来ちゃうから……」
「大丈夫! お友達の方は、あっちで普通の取材してるよ。可愛い美樹子ちゃんはこっちで深夜番組の取材!」
 美樹子が勝ち誇ったような笑顔を見せたのが見えた。
 友達より君の方が可愛いから――そうおだてられ、美樹子は開いた脚の間に男の舌をいれられ、わざとらしく思えるほどに声をあげている。
 私は震えていた。脚が凍ったように動かない。騙されている美樹子が気持ちよさそうにアクンアクン喘いでいるその場に、足を踏み入れることができなかった。
 今私が出ていって、すべて嘘だ、男達は美樹子を騙しているのよ、なんて、とても言えない。
「お、やってるね」
 肩に手を乗せられ、はっとして振り返った。帽子をかぶった男だ。
「今回、ペース早いな。君のお友達、もう脚開いちゃってるんだ。淫乱系?」
「そんなこと……っっ!」
 肩におかれた男の手が、私の胸元に伸びる。
「はっきり言うけど、君の方が上玉だよ。綺麗だし、スタイルいいし、冷静だし頭もいい。馬鹿な女だと、ここで大騒ぎして女友達のプライドをズタズタにしちゃうんだよね」
 男が耳朶に囁く声の向こうから、アンアンという美樹子の甘いよがり声が、聞こえた。美樹子はカメラの前で男のペニスを受け入れ、無我夢中でよがりくるっている。
「俺らも楽しんじゃおうぜ? カメラなしでさ」
 男の手は、私のビキニのブラの中に滑り込んでいた。いやだ私ったら、いつの間に乳首がこんなに勃っていたんだろう? 男の手がじっとりとしていて、熱い。
「君みたいなまともな子は、あんな風にカメラの前できゃあきゃあ言いながらはしたない声をあげることないんだよ」
 男の唇が、首筋をなぞる。
「あ……」
 私どうしてこんなに、火照っているんだろう。美樹子のいやらしい姿を見て興奮した? まさか!
 下半身が湿っている。汗なのかしら、それとも――。

「ん、んん」
「すごい、すごい締まって気持ちいいよ。もう少し長く楽しみたいね……」
 私はビキニの下を脱ぎ、岩に手を付いて立ったまま、男のペニスを受け入れていた。岩の影から、マイクをあそこに突っ込まれ、男の肉棒をほおばり、だらしない声をあげている美樹子が見えた。
 私は違う、あんなバカじゃない。
「ああう……」
 私の尻を掴み、ピストンを繰り返している男は、なかなかのテクニシャンだ。私を焦らし、ここぞというタイミングでピストンを早める。そして私がイキそうになると、再び腰の動きをゆるめ、私を焦らす。
 たまらない。太陽の下でのこんなにも開放的なセックスは初めてだ。けれど、すぐそばでみだらな姿を晒している美樹子にバレるわけにはいかないから、必死で声を殺す。美樹子は私に一部始終を見られているなんて知らない。そして、そのぱっくりと脚を広げたまぬけな姿が編集され、エロDVDとして他の何人もの女達と共に不特定多数の目に触れることになるなんて気付いていないはずだ。
 美樹子は今、自分は特別だから、こうなっているのだと信じている。
 友人を裏切っている背徳感が、私を高揚させていた。
 普段のセックスよりずっと、強く、深く感じてたまらない。快感で血が沸騰し、高熱を出したときのようにぼんやりする。
「もう、もうだめぇ……」
 息が苦しい、喉が乾く。感じすぎて、辛いほどだ。
「俺も……イク……」
 男のピストンがグンと早く強くなる。やがて私がクライマックスを迎えると同時に、胎内に生温かいものを感じた。
「ああ……」
 ペニスが抜かれた瞬間、脚の間から精液がだらりとこぼれた。
「なにか拭くもの、ないの?」
 男の短い叫びが聞こえるより、私の手が脇に置かれた男の鞄に触れる方が先だった。
 鞄の中には隠しカメラが――。
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